わたしはダマサレナイ!!
第56話 借金をさせて強引に契約を結ばせる!若者を狙うクレ・サラ強要商法
point1 相談件数の7割が10歳代~20歳代 お金を儲けるはずが高額の借金に
クレ・サラ(クレジット・サラ金の略)強要商法とは、高額な契約を「お金が無い」と言って断る消費者に対して、事業者がカードローンやクレジットカードのキャッシングなどの借金を促し、強引に契約を結ばせる悪質な手口をいいます。
近年、金融知識に乏しく借金を軽く考えがちな若者がこの手口で狙われることが多くなっています。
2020年度、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数のうち10歳代~20歳代の割合は7割にもなります。
また、成人となり親権者(親など)の同意無くお金が借りられる20歳代の相談件数は、そうした同意が無いとお金を借りられない10歳代の約25倍に達しています。
こうした状況を踏まえると、2022年4月の成年年齢引下げによって新たに成人となる18歳、19歳および親権者の備えが急務です。
クレ・サラ強要商法はさまざまな悪質商法の手口として使われ、とくに情報商材(副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウなどと称して、インターネットで販売されている情報)やマルチ商法、暗号資産による投資などお金儲けに関連した契約で多くの相談が寄せられています。
そのほか痩身や脱毛などのエステティックサービスでもこうしたトラブルが見られます。
また、友人から儲け話を紹介され、親しいが故に警戒心が薄れ話をうのみにして、契約や借金をしてしまったケースも少なくありません。
point2 借入れさせるため貸金業者への虚偽申告を仕向ける悪質なケースも
この手口の主な手法は、投資などの商品で儲かるかどうか不確実であるにもかかわらず、事業者が「必ず儲かるので借金をしてもすぐに返済できる」などと説明。
消費者に貸金業者への借入れを促したり強要することで契約代金を支払わせるというものです。
契約するまで事業者から帰してもらえず、威圧的な態度を取られて断り切れなかったという報告もあります。
また、事業者が契約代金を確実に手に入れるため貸金業者まで連れて行ったり、条件的に借入れが難しい消費者に年収や職業などを虚偽申告させるなど悪質なケースも見られます。
貸金業者の借入れ上限額より高額な契約の場合は、複数の貸金業者から同日に借入れさせることもよくある手法です。
借金をして契約した消費者に新たな契約を次々と迫り、断れずに高額な借金を背負ってしまった深刻なケースも見られます。
事例①
SNSで知り合った人が、投資用教材ソフトで儲けた話をしてきて、担当者を紹介された。
担当者に会うと「必ず儲かる」と説明されたが、高額な契約代金を聞いて「フリーターなのでお金が無い」と断った。
しかし担当者から「話を聞いておきながら『金が無いからできません』とは何事だ」、「みんな借金して契約しているが稼いですぐ返済している」と威圧的に言われ、断れずに借金をして契約することに。
結局儲からず、高額な借金が残った。
事例②
エステの無料体験を受けた後、高額なコースを勧められた。
「お金が無いから支払えない」と断っても帰してもらえず、押し切られて契約することに。
店員に「現金なら割引する」と言われてキャッシングして支払ったが解約したい。
point3 望まない契約は「いりません!」ときっぱり断ることが大切
特定商取引法では、事業者が契約締結のため消費者に行う以下の行為を禁止しています。
年収など支払い能力に関する虚偽の申告をさせる。
消費者の意に反して貸金業者の営業所などに連れて行く。
金銭の借入れなどに係る契約を締結させるために、迷惑を覚えさせるような仕方で執拗(しつよう)に勧誘する。
しかし事業者の悪質な商法が理由であったとしても、いったん貸金業者からお金を借りてしまうと、貸金業者への返済義務を取り消せる可能性は極めて低いのです。
そのため、多額の借金を負い長期間にわたり経済的に支障を来す恐れがあるクレ・サラ強要商法では、未然防止が重要になります。
防止策としてまず、「必ず儲かる投資など無い」と考え、たとえ友人や知合いからの紹介でもおいしい話をうのみにしてはいけないということです。
望まない契約なら「お金が無い」という断り方ではなく、「いりません」、「やめます」ときっぱり断ることが大切です。
また望まない契約とまでは言えないとしても、借金をしてまで契約をする必要が本当にあるのか、借金の返済ができるのかなど落ち着いて考えるためにその場では契約せず、家族や信頼できる人に相談することをお勧めします。
そして、特定商取引法の禁止行為を行う事業者との契約は避けましょう。
こうした消費者トラブルに遭ってしまった場合や、契約に関して少しでも不安や不審に思うことがあれば、消費者ホットライン188にすぐ相談しましょう。
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関連サイト
「借金をさせて強引に契約を結ばせる!若者を狙うクレ・サラ強要商法」に関連する情報として、以下もご覧ください。
- 借金するよう指示し、強引に契約を迫る手口に注意
(国民生活センターHPへリンク)
万一の相談先
消費者ホットライン
☎188(「いやや」と覚える)
- 最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。相談受付時間は相談受付先によって異なります。
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「わたしはダマサレナイ!!」のほかにもお役立ち連載がいっぱいです。