わたしはダマサレナイ!!
第41話 次から次へと犯人が考え出す架空請求の手口。この1年増えて来たのが電子マネー型と収納代行利用型。若い人も要注意です。
point1 少額を数多くからだまし取る「架空請求詐欺」の新たな手口とは?
「有料動画閲覧履歴があり未納料金が発生しています。本日中に支払わないと法的手続きに移行します」などといった虚偽のメッセージをスマートフォンなどに送り付け、相手を不安に陥れてお金をだまし取る「架空請求詐欺」。最近では、1件当たりの被害額は少なくなっているものの、被害件数自体は増加傾向にあります。
犯人側が1件当たりの請求額を少額に抑える一方、より多くの人をだまそうとしていることがうかがわれます。警察などによる注意喚起が功を奏し、現金を送付させたり振り込ませたりするのでは被害者に怪しまれることを悟った犯人は、少額でも数多くの人からお金をだまし取る手口を見出したのです。
それが、「電子マネー型」と「収納代行利用型」の2つです。請求額が少額であることから、不安に陥った被害者が支払い易いということも、被害件数を増加させている要因になっています。
point2 プリペイドカードを購入させてID番号を聞き出す「電子マネー型」
「電子マネー型」はインターネットで商品などを購入する際の代金決済に用いるプリペイドカードを悪用した手口です。プリペイドカードはコンビニエンスストアなどで販売されており、各カードには固有のID番号が記載されています。インターネットの商品購入サイトで買い物をする際に、このID番号を入力すると、商品代金がカードの額面の範囲内であれば支払いが完了します。
犯人は現金の送付や振り込みの代わりに、このプリペイドカードを購入させて未使用のID番号を聞き出すことによって、額面分の金額をだまし取るのです。ID番号を聞き出した犯人はすぐにこれを使って商品券などを購入、転売するなどして換金します。一度入力されたID番号は使えなくなるため、だまされたと気付いたときにはほとんどの場合、取り返しがつきません。プリペイドカードの価格は数千~数万円と手ごろ。容易に購入できるところに犯人は目を付け、昨年から被害が目立つようになりました。
point3 コンビニの収納代行サービスを悪用する「収納代行利用型」
「電子マネー型」よりも、もう少し高額をだまし取りたい犯人たちが考えたのが、コンビニエンスストアなどの収納代行サービスを悪用する「収納代行利用型」です。収納代行サービスとは、電話やインターネットで注文した商品やチケットの代金を、クレジットカードなどを使わずにコンビニエンスストアなどを経由して支払うことができるサービス。商品などを注文するときに「コンビニエンスストアでの支払い」を選ぶと、支払番号が通知されます。この番号をレジに伝えて代金を支払ったり、コンビニエンスストアに設置されたマルチメディア端末に入力すると、決済用のシート(申込券)が発行されるので、これをレジに持参し代金の支払いを行うという仕組みです。
犯人はあらかじめインターネットの商品購入サイトで商品券などを注文し、コンビニエンスストアでの支払いを選択することで支払番号の通知を受けます。この番号を被害者に伝え、未納料金名目でお金を支払うように仕向ける手口です。被害者は、未納料金を支払っているとの認識でしょうが、実は犯人が購入した商品券などの代金を肩代わりして支払っているのです。犯人は、こうして手に入れた商品券などを転売するなどしてお金を手にします。コンビニエンスストアの収納代行サービスの上限は30万円。「電子マネー型」よりも高額をだまし取ることが可能で、被害が急増しています。
point4 手口を知っておくことが身を守ることにつながる
現金を送付させたり、振り込ませたりする手口であろうと、この「電子マネー型」「収納代行利用型」であろうと、「架空請求詐欺」に対して共通する対処法は、身に覚えのない請求は無視するということです。ただしスマートフォンが広く普及しドラマや映画といった動画サイトを利用する人が増えた現在では、「有料動画サイトの料金未納」と突然言われると、どこか思い当たる節があるという人も少なくありません。しかしここで慌てては、犯人の思うつぼ。通常有料動画サイトでは、プリペイドカードや収納代行サービスを使って利用料金の支払いをさせることはありません。
「有料動画サイトの未納料金」をこうした方法で支払わせようとする相手は、詐欺だと疑う必要があります。また「電子マネー型」「収納代行利用型」の被害者には、プリペイドカードや収納代行サービスをこれまで利用したことがなく、どのようなものかよく知らなかったという人が多いようです。こういう新しいサービスを理解しておくことも、身を守ることにつながります。
point5 被害にあってしまった場合はすぐに相談を!
各都道府県警も各小売店や収納代行業者などと連携し対策を進めています。プリペイドカード購入者にはレジで啓発チラシを配布、マルチメディア端末利用者には画面に注意喚起を表示させるなど、予防に力を入れています。ただし、それでもだまされてしまう場合もあります。そのときは「電子マネー型」の場合はプリペイドカードの発行元に早急に連絡、「収納代行利用型」の場合は領収書に記載された事業者などに連絡し、さらに最寄りの警察署や消費生活センターに相談しましょう。
マンガで分かりやすく解説!
マンガ まきのこうじ
第41話 次から次へと犯人が考え出す架空請求の手口。この1年増えて来たのが電子マネー型と収納代行利用型。若い人も要注意です。(PDF 1,168KB)
監修:
警察庁
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