わたしはダマサレナイ!!
第40話 突然現れる「ウイルスに感染しました」という偽警告!サポート契約まで誘導!それは詐欺です!
point1 「偽警告(にせけいこく)」による被害が増えている
コンピュータのセキュリティ対策などを推進するIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)によると、2015年夏ごろからインターネットを利用中にパソコンがウイルスに感染したと思わせて、ウイルス駆除などのサポート料名目で金銭をだまし取る詐欺事件が増えてきました。
その主な手口は、「使用中のパソコンがウイルスに感染した」旨の警告をブラウザに表示するのに合わせてパソコンがコントロールできなくなったかのような状況を作り出し、サポート窓口への電話を促すものです。そして、本来不要なサポート契約などに持ち込みます。これは「偽警告」と呼ばれ、最近ではさらに手口が巧妙化しています。
point2 利用者を不安に陥れサポート契約に持ち込む
パソコンでWEBサイトを見ていると、突然「ビー、ビー、ビー」と、けたたましい警告音が鳴り響き、女性の音声でウイルス感染を警告するメッセージが流れると同時に、「あなたのパソコンからウイルスが検出されました」というポップアップの画面が出現します。画面を閉じようとしても閉じることができず、画面に表示されているサポートのための電話番号に慌てて電話すると、オペレーターが出て、「パソコンの状況を遠隔操作で確認します」と、遠隔操作ソフトをインストールするように促されます。このとき、オペレーターは片言の日本語を話すケースが多いようです。
実は、このウイルス感染を告げる画面や警告は偽物で、実際にはパソコンはウイルスに感染していません。ブラウザの機能を悪用したコンテンツ画面を表示させているだけなのです。警告画面を閉じようとしても閉じることができないのは、繰り返し同じ画面が出現するように犯人側が設定しているからに過ぎません。ところが、利用者はウイルスに感染してしまったので、パソコンがコントロールできなくなったのではないかと不安に陥ります。
慌てた利用者が藁(わら)にもすがる思いで、オペレーターの言う通りにソフトをインストールすると、犯人側はしばらく遠隔操作した後に、「ウイルスが検出されました」と嘘を告げます。そして、「駆除するのであれば料金がかかります」あるいは「サポート契約が必要になります」と、クレジットカード番号を電話で聞きだす、もしくは画面から入力させて金銭を支払わせます。
その後、サポート事業者を自分で調べたり、家族や友人から指摘されて詐欺だと気づく人が多いようです。なかには詐欺だと気づかない人もいるようですから、このようなやり取りに心当たりがあれば、だまされてサポート契約を結んでいないか確認してみる必要があります。1回の支払金額は1~3万円前後と比較的支払いやすい金額ですが、その後も詐欺だと気づかないまま繰り返し請求に応じて支払金額がかさむケースもあるようです。
スマートフォンでも「ウイルスを検出した」という偽の警告が表示され、ウイルス駆除のためにセキュリティアプリをインストールするように誘導されるという事例が報告されています。
point3 続々と新たな手口が出現。より巧妙に利用者を誘導
自分のパソコンが「ウイルスに感染してしまったかも!」と思わせるような状況を演出する不正行為は、2017年以降もさまざまな形で行われています。
たとえば、「使用中のパソコンに問題が生じた」という偽警告の画面が表示されるとともに、ブラウザの画面上でマウスのポインターが勝手に移動するアニメーションが表示されたので、パソコンをコントロールできなくなったと錯覚してしまうというケースも報告されています。実はこれ、自分が使っているマウスのポインターが画面上非表示にされているだけなのです。
その後、サポート窓口に電話することを促す画面が表示されます。なかには、5分以内といった形で制限時間を設けて電話することを求める表示がなされる場合もあるようです。他の人に相談する猶予を与えず、焦った利用者が自分だけの判断で電話するよう仕向けているにほかなりません。
point4 偽警告には「ブラウザを閉じるか再起動」。万一、サポート契約した場合は、公的機関に相談を
今のところ、どうして偽警告画面が表示されるのか、確かなことは分かっていません。このため、「偽警告」の表示を防ぐ決定打はありません。ただ、繰り返しになりますが、これらのケースでは、たとえ「偽警告」が表示されても、パソコンはウイルスに感染していません。「偽警告」を表示するとともに、パソコンがコントロールできなくなったかのように思わせる状況を作り出しているだけなのです。したがって、インターネットを利用中に「偽警告」にあった場合は、慌てないことが肝心です。
なにか意図しない表示が現れて不安に思ったら、それ以上画面を遷移させず、ブラウザを閉じましょう。いつもやっているようにブラウザを閉じることができない場合には、パソコンを再起動すれば、ブラウザを閉じることができます。
万が一、表示画面に従い、クレジットカードの番号を入力してしまった場合、ソフトをアンインストールするだけでは契約解除にはなりません。アンインストールした後は、必ず最寄りの消費生活センターなどに電話でサポート契約の解除に関して相談しましょう。
また、クレジットカード会社にも相談してください。サポート契約を結んだ事業者と交渉し、支払った金額を返させた例もあります。またIPAのWEBサイトでは、被害にあった際の「システムの復元」「ソフトのアンインストール手順」などについて、対処方法を紹介しているほか、相談も受け付けています。
マンガで分かりやすく解説!
マンガ まきのこうじ
第40話 突然現れる「ウイルスに感染しました」という偽警告!サポート契約まで誘導!それは詐欺です!(PDF 2,199KB)
取材協力:
NACS消費者相談室副室長 白井 宗子
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
スマートフォンでマンガ!電子ブックで金融トラブル防止について学ぼう。
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関連サイト
「突然現れる『ウイルスに感染しました』という偽警告!サポート契約まで誘導!それは詐欺です!」に関連する情報として、以下もご覧ください。
- 「突然現れるパソコンの警告表示をすぐにクリックしないこと!─その表示は、有料ソフトウエアの広告かもしれません─」(国民生活センターHPへリンク)
くらしに身近な金融知識をご紹介する「くらし塾 きんゆう塾」
「わたしはダマサレナイ!!」のほかにもお役立ち連載がいっぱいです。