わたしはダマサレナイ!!
第42話 「使うつもりのない携帯電話契約」で誘う身近なワナ。ダマサレルだけではない!あなたも加害者に!?
point1 被害にあいながら加害者に?「携帯電話契約詐欺」
インターネット広告のアルバイト勧誘や消費者金融業者の甘い融資条件など身近にある誘惑から、使うつもりのないスマートフォンなどの携帯電話を複数台購入させられ、それをだましとられてしまう「携帯電話契約詐欺」。しかもだまされた消費者が、同時に、携帯電話会社に対する加害者になる可能性もあるという怖い手口。無知や軽い気持ち(欲)が重大な問題に発展してしまいます。
point2 使うつもりのない携帯電話を購入させる単純な手口
「携帯電話契約詐欺」の代表的な手口であるアルバイト勧誘では、「携帯電話を数台契約するだけでお金がもらえる」、「携帯電話本体料金も利用料金も支払う必要がなく、契約した携帯電話さえ渡せばOK」などの宣伝文句をインターネットやSNSなどに掲示し、軽い気持ちでアルバイト募集に応じた学生などを言葉巧みに誘導します。携帯電話を何台も契約させ、契約後の携帯電話をアルバイト業者の指定先に送ってしまうと、その業者とは連絡が取れなくなります。やがて、携帯電話会社から届いた多数の請求書の金額を支払うことになり、「だまされた」と気が付くわけです。
そのほか、市場調査のアルバイトを装った勧誘もあります。商品を評価するための覆面調査という名目で、携帯電話を複数台購入させます。「すぐ解約するので問題ない」といわれるものの、携帯電話をアルバイト業者にすべて渡した後、連絡が取れなくなります。
アルバイト勧誘は、「簡単に誰でも出来る内容」なので、若者だけでなく、高齢者も狙われやすい手口でもあります。
また、アルバイト以外によくある手口が、融資を受けたいという借り手の焦りを利用した悪質な誘惑です。いわゆるヤミ金とよばれる無登録の消費者金融業者によるもので、融資条件のための信用度調査という理由で携帯電話を契約させ、搾取してしまうのです。当然のことながら、融資を受けることも出来ません。
だます業者はさまざまな手口を用いてきますが、彼らにとっての最終目的は「(通話が可能な)携帯電話本体の搾取」です。搾取した携帯電話を売却したり、犯罪の道具に使う可能性が高いのです。だまされた消費者に残るのは、複数台の携帯電話本体料金、利用料金、さらには解約料金などの金銭的な負担です。なかには100万円近い請求を受けた事例もあります。
point3 さらなる被害があなたを襲う「携帯電話不正利用防止法」違反
この詐欺的手口が問題となるのは、金銭的な負担だけではありません。
実は、2006年に施行された「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)」に違反する可能性もあるのです。
だまされた消費者といえども、名義人として契約が成立している以上、本来、携帯電話会社の承諾なしに携帯電話の譲渡を行うことは許されませんので、携帯電話会社への加害者とみなされることもありえます(同法第7条)。「だまされたから」では違反を逃れる理由にはなりません。
こうしたこともあり、「詐欺にあった」という被害届を出せないまま泣き寝入りしてしまうケースも多いのです。被害届を出したとしても、悪質業者の足取りはつかみづらく、犯罪を立証して捕まえられないのが実情で、こういった詐欺的手口が後を絶たない要因となっています。
point4 被害の解決は困難 だまされないために注意しておくこと
先に述べたように、解決の糸口を見いだしにくいのが、この詐欺的手口の特徴です。「だまされたうえにお金まで支払いたくない」と思うかもしれませんが、加害者にならないためにも、携帯電話本体料金と利用料金、さらに解約料金の支払いは必須と思っておいたほうがよいでしょう。負担額は相当なものになりますが、「携帯電話契約詐欺」の場合、残念ながらお金を取り返すことは非常に難しく、だまされていたとはいえ、自分の行為に対して責任をとる必要があるのです。
そして、だまされないためには、
- 携帯電話の転売目的の契約アルバイトは絶対にしない、
- 携帯電話の契約について不安や不明な点がある場合は、携帯電話会社に確認を取る、
- 名義を変更する場合や、通話可能な携帯電話を譲渡する場合は、必ず携帯電話会社に連絡し、所定の手続きを行う、
といったことを注意するようにしましょう。万一だまされたときは、犯罪に利用される可能性を考え、早急に警察に届け出ましょう。
マンガで分かりやすく解説!
マンガ まきのこうじ
第42話 「使うつもりのない携帯電話契約」で誘う身近なワナ。ダマサレルだけではない!あなたも加害者に!?(PDF 1,920KB)
監修:
NACS消費者相談室副室長 白井 宗子
スマートフォンでマンガ!電子ブックで金融トラブル防止について学ぼう。
第42話の内容を電子ブック(epub形式)として読むことができるようになりました。
詳しくは以下のリンクまたはQRコードから。