活動内容・方針
2012年度活動実績と2013年度活動方針
1.2012年度活動実績
2012年度は、「必要とされる情報を、効果的に伝えよう」をテーマに掲げ、積極的に活動を展開した。この活動テーマは、「金融知識の普及や金融教育の支援において、その対象が必要とする情報の内容や利用する情報媒体は、年齢層等によって異なるため、相手方のニーズに応じた情報を効果的な方法で伝えていこう」という考え方に基づくものであった。
こうした活動テーマの下で、とくに「学校における金融教育の支援」を重点課題と位置付け、様々な取組みを行った。また各種の活動を進めるに際しては、各地金融広報委員会、金融広報アドバイザー、関係行政機関・関係諸団体等との情報交換の成果を活用しつつ人々の情報ニーズの把握に努めたほか、関係行政機関・関係諸団体との調整・連携に関して、各関係先の活動の重点や得意分野を踏まえながら、より効果的な対応を図った。
2012年度に実施した主な活動内容は、以下のとおり。
(1)金融教育の支援に関する活動
① 教育委員会関係者・学校長等への情報提供
当委員会事務局スタッフが各地金融広報委員会事務局と連携しつつ全国7地区の教育委員会等を訪問し、学校における金融教育の重要性や当委員会・各地金融広報委員会が実施している金融教育支援のための様々な取組みに関して、情報提供や意見交換を実施した。
② 教員向けセミナー・公開授業等の開催および開催支援
全国の教員を対象とする「教員のための金融教育セミナー」を東京にて開催したほか、各地金融広報委員会が開催する教員向けセミナーや金融・金銭教育協議会等に対して講師派遣のアレンジ等の支援を実施した。また、各地金融広報委員会との共催により、「金融教育公開授業」を全国15道府県の17校で開催し、教育関係者、児童・生徒の保護者および学校を巡る地域関係者に参観の機会を提供した。
③ 金融・金銭教育研究校への支援
各地金融広報委員会が委嘱する研究校(対象は幼稚園から高校まで、2013年1月現在102校)に対して、発達段階に応じた金融・金銭教育の実践等を支援した。
④ 教職課程を有する大学等における講義
大学等からの要請に応じ、8つの大学等において、当委員会事務局スタッフが、教員を目指す学生等を対象に金融教育に関する講義を実施した。
⑤ 金融教育関連イベントの開催
従来の「金融教育フェスティバル」を活動の効率性の観点から見直し、小学生を中心とした子供たちとその保護者に対象を絞ったイベントとして、「親子のためのおかね学習フェスタ」を全国5か所(兵庫、静岡、東京、福島、愛媛)で開催した。また、従来からの継続した取組みとして、中学生向け作文コンクール、高校生向け小論文コンクールおよび教員向け小論文・実践報告コンクールを実施した。教員向けコンクールについては、従来の「小論文部門」に加えて「実践報告部門」を設けることにより、応募の促進を図った。
⑥ 金融教育に関する簡易パンフレットの作成および教材の改訂
金融教育に馴染みの薄い教員等に比較的容易に理解・活用頂くことを念頭に、金融教育に関する簡易パンフレット「金融教育の手引き」を新規作成した。また、金融教育関連の教材である「これであなたもひとり立ち」、「きみはリッチ?」の改訂を実施した。
(2)金融知識の普及に関する活動
① 金融・経済講演会への講師の紹介・派遣等
各地金融広報委員会が開催する金融・経済講演会に関して、講師の紹介・派遣を実施した。その際、当委員会の委員団体等にセミナー講師の派遣を依頼して、講演会とセミナーを併せて開催する取組みも開始した。
② 刊行物の改訂等
「金融商品なんでも百科」、「暮らしと金融なんでもデータ」、「金融学習ナビゲーター」(当委員会および各地金融広報委員会のほか関係諸団体・関係行政機関等が提供している金融教育支援・金融知識普及のための活動・コンテンツを網羅的に紹介するもの)の改訂を実施した。その際、「暮らしと金融なんでもデータ」については、ホームページ上で、パソコンでの処理に適したデータ形式での情報提供を開始した。また、「金融商品なんでも百科」および「金融学習ナビゲーター」の改訂については、広く、関係諸団体・関係行政機関等の協力を得て実施した。これらのほか、広報誌「くらし塾きんゆう塾」について、高齢者の方々にとっての読み易さを向上させる観点から、従来のB5判からA4判への大判化を実施した。
③ ホームページによる情報発信の充実
「知るぽると」ホームページでの情報発信について、インターネット利用者の情報通信機器に関する最近の情勢を踏まえ、利用者の利便性を向上させる観点から、YouTubeでの動画配信を開始したほか、電子ブック形式でのコンテンツ提供も試行的に開始した。
(3)調査・情報収集等に関する活動
① 各種調査結果の公表
2011年度中に調査を終えた「金融力調査」について、調査結果を取りまとめて公表した。「金融力調査」は、18歳以上の個人のお金や金融に関する知識や行動の特色を把握するために、海外における調査の事例なども参考にしつつ、当委員会として初めて実施したものである。また、従来からの継続的な取組みとして、「家計の金融行動に関する世論調査」を実施し、結果を公表した。
② 金融教育を巡る国際的な動向に関する情報収集
OECDの中に設けられている「金融教育に関する国際ネットワーク(OECD/INFE)会議」に当委員会の事務局スタッフを参加させること等を通じて、金融教育を巡る国際的な動向の把握に努めた。そうした活動の一環として、OECDにより2012年4月に策定された「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」が、同年6月のG20ロスカボス(メキシコ)サミットに提出され承認されたことを踏まえ、同原則の仮訳をホームページ上に公表して、国内関係者の参考に供した。