活動内容・方針
平成22年度活動方針
2.平成22年度の活動方針
近年の金融をはじめとする様々な分野における規制緩和等により、私たちが利用できる金融商品やサービスが多様化するなど、暮らしを取り巻く金融環境は大きく変化しています。選択肢が増えること自体は大きなメリットですが、一方で自己責任がこれまで以上に求められています。また、様々な手口の詐欺等、金融犯罪が後を絶たないほか、多重債務者も深刻な社会問題となっています。私たちが健全な経済生活を営むために、お金や金融経済についての知識や判断力をしっかりと身につけることが益々重要となっており、もはや必要不可欠と言っても良いと思います。
世界に目を転じますと、金融のグローバル化、金融新技術の普及に伴う金融商品の複雑化・多様化という流れの中で、一昨年秋のリーマンショックに代表される金融危機がおきました。金融危機の教訓と再発防止策については、現在まだ議論の途上ですが、金融市場の機能には限界があり、金融危機等を防ぐためには金融機関等に対する監督・規制を強化すべきであるとの議論が高まりました。市場機能の限界を補うとの観点から、特定の利害に左右されずに中立・公正な立場から判断し行動できる、公共的な役割を担う機関に対する期待は高まっています。同時に、消費者が正しい金融知識を身に付けていれば、被害をもっと小さくできたとの反省も生まれています。返済能力を上回る過大な住宅ローンが一般化した、米国におけるいわゆるサブプライム・ローン問題が一つの典型です。こうした問題意識から、多くの先進国、新興国で消費者への正しい金融知識の普及、金融教育の重要さが改めて指摘されています。
一方で、私ども金融広報委員会も含め、公共的な組織・団体に対する世間の目は大変厳しくなっています。すなわち、事業や施策の運営上の無駄を徹底的に排除するとともに、効率的かつ効果的に事業・施策を行っているかを世の中にはっきりと説明していくことが求められています。
こうした環境認識の下、先ほどのサブプライム・ローンの例もそうですが、必要とされる金融知識が益々複雑・多様化する中で、個別の知識がそれを本当に必要としている方々にきちんと届いているのか、改めて問われているように思います。こうした課題に応えていくうえで、一貫して中立・公正な立場から、断片的でないトータルな知識をバランスよくかつ継続的に提供するとともに、官民挙げてのご協力を得て、地域密着の活動を長きに亘り展開しノウハウを蓄積している、金融広報委員会に対する期待は益々高まっているものと思われます。
当委員会としては、こうした特性をさらに活かすかたちで、当委員会だからこそできることをしっかりと継続してまいりたいと思います。すなわち、(1)中立・公正かつ正確な多分野にわたる金融知識を、(2)もっとも必要としている方々に、(3)委員団体や学識経験者、各地委員会、金融広報アドバイザー等の更なるご協力をいただきながら、(4)もっとも効果的な手法で、地域密着の地道な活動を通じて届けていくことが何より肝要であると考えます。
中立・公正な「正しい」知識を、効率的・効果的な方法で、それをもっとも必要としている方々に「正しく」伝えたい、こうした思いを込め、「正しい知識を正しく伝える」を、22年度の新たな活動テーマに掲げ、金融教育と金融知識普及を車の両輪として以下の重点施策について取り組むこととします。
重点施策
(1)共通
- 金融教育フェスティバルの各地開催(内容面では、委員団体等セミナーの拡充等)
- 委員団体等との連携の一段の緊密化
- 金融広報アドバイザーへの支援強化等を通じた質・量両面でのアドバイザー活動の一層の充実
(2)学校向け
- 教員対象セミナー・研修等への支援強化等を通じた内容の一層の充実
- 作文・小論文コンクール、金融教育公開授業の継続
- 金融教育実践事例紹介DVDの作製
(3)一般向け
- ホームページコンテンツの抜本的見直しの推進
- 各地企画展用展示ツール等の開発・貸与
- 「金融商品なんでも百科」ほか刊行物の改訂
- 大学生、単身者、シニア層、障がい者向け啓発機会の拡充
(4)その他
- 「家計の金融行動に関する世論調査」の継続実施
- 「子どものくらしとお金に関する調査」の実施検討
- 事業評価手法の検討・試行