企業年金
第4部 企業年金の受け取り方~年金と一時金~
第2章 企業年金ごとのポイント
3.厚生年金基金
現在、厚生年金基金は解散や移行が進み、厚生年金基金の加入者がほとんどいなくなりました。そのため、基本的に退職時に一時金を受け取っていない人は、企業年金連合会から「通算企業年金」や「基本年金」、「代行年金」を受け取ることになります。
(1)通算企業年金
解散したり退職した厚生年金基金から、厚生年金基金独自の給付を一時金で受け取らず、企業年金連合会へ移換した場合は「通算企業年金」になります。この通算企業年金は生きている限り年金を受け取ることができる終身年金です。また、保証期間が受取開始年齢から80歳まであります。この間に死亡した場合などは、残りの保証期間などにより決まる金額を死亡一時金として遺族が受け取ることができます。そのほか、病気や災害などで一時金が必要になった場合は選択一時金を受け取ることもできます。
(2)基本年金・代行年金
基本年金・代行年金は厚生年金に相当する年金です。2014(平成26)年4月前に厚生年金基金が解散した場合は「代行年金」、退職した場合は「基本年金」となります。基本年金は代行部分に加え基金独自のプラス・アルファの給付が含まれますが、いずれも基本的に厚生年金の代行部分に相当するので年金で受け取ります。いずれにしても、厚生年金の代行部分に相当する年金です。そのため、一時金で受け取る選択肢はありませんので気をつけてください。
(3)退職や解散・廃止時の「年金」と「一時金」を選ぶポイント
中途退職して脱退一時金を受け取る場合や厚生年金基金が解散して一時金を受け取ることができる場合、その時点では一時金を受け取らず、企業年金連合会へ移換をして、通算企業年金として老後に年金を受け取ることもできます。
つまり、老後に年金で受け取るか、一時金で受け取るか、という話の前に退職時や解散時に一時金で受け取るか、将来、年金か一時金で受け取るかという選択があります。
この選択のポイントとして、年金で受け取る場合の予定利率があります。年金は移換時点の年齢により予定利率が異なり、同じ一時金額でも受け取る年金額が違ってきます。将来受け取る年金額は企業年金連合会のホームページでシミュレーションもできます。また、簡単な試算表もあります。
退職や解散時に企業年金連合会へ資産を移換するかは、老後に受け取る年金額と今受け取る一時金額を比較し、お金の使い道やライフプラン、企業年金連合会の安全性を考えて決めてください。
通算企業年金のおすすめ(企業年金連合会HPへリンク)
(4)老後に「年金」と「一時金」を選ぶポイント
存続する厚生年金基金から年金で受け取る場合は、終身年金なので安全性を意識します。以前は財政状況が厳しく将来の給付がきちんとできない可能性が高い厚生年金基金が多くありましたが、現在存続する厚生年金基金は継続の基準がかなり厳格になり、財政状況が健全になってきているので心配は少なくなりました。とはいえ、年金で受け取るか、一時金で受け取るかのポイントは、「利殖性」、「ライフプラン(使い道)」、「安全性」です。年金で受け取る場合は、終身年金なので安全性に注意が必要です。