第１章　企業年金を受け取るまでに退職したらどうなるのでしょうか？

2．企業年金ごとの権利や手続きと注意点

（3）厚生年金基金

①権利

在職中に加入していた厚生年金基金は、退職した時に年金を受け取る権利があれば、基本的に退職後もその権利は守られます。また、年金の代わりに選択一時金を受け取る権利も同じように守られます。もちろん、この選択一時金を受け取ると、将来、年金を受け取る権利はなくなります。ただし、厚生年金の代行部分を受け取る権利がなくなるわけではありません。あくまでも、厚生年金基金独自の給付を受け取る権利が終わるだけです。

加入期間が比較的短い人で脱退一時金を受け取った場合は、一時金を受け取った時点で権利が終わります。しかし、この場合も厚生年金の代行部分を受け取る権利がなくなるわけではありません。また、退職後、脱退一時金を受け取らず、代行部分とともに資産を企業年金連合会へ移換した場合は退職後も権利が守られます。

②手続きと注意点

• 書類の保管

  転職を繰り返した場合は、それぞれの厚生年金基金の「厚生年金基金加入員証」を老後の年金をもらうまで年金手帳などと一緒にきちんと保管しておくことが大切です。また、自分の年金資産を企業年金連合会へ移換している場合は、加入員証の他に企業年金連合会から届く「年金支給義務承継通知書」も大切に保管しておいてください。

• 厚生年金の代行部分の請求先

  厚生年金の代行部分は選択一時金や脱退一時金などの一時金を受け取っても権利はなくなりません。老後、公的年金の支給開始年齢になった時に手続きを忘れないようにしてください。厚生年金の代行部分の請求手続きは、2014（平成26）年４月１日以降に退職した場合や厚生年金基金が解散した場合で一時金を受け取った人は、国民年金、厚生年金の窓口である年金事務所で手続きをします。その他の場合は、基本的に厚生年金の代行部分の請求手続きは企業年金連合会で行います。