企業年金
第2部 各企業年金制度の詳細
第1章 確定給付企業年金(規約型/基金型)
1.概要としくみ
確定給付企業年金は、2002(平成14)年4月、新しい年金制度として始まりました。それまでの企業年金は、長引く不況による株価低迷などで元々予定していた運用益を得ることができず、社員に約束していた給付ができない場合もでてきました。
新しい確定給付企業年金制度では、このようなことが起こらないように、毎年きちんと給付に必要なお金が準備できているか、確認していくしくみになっています。現在では、企業年金の中で加入者数が最も多くなっています。
確定給付企業年金制度には、すでに廃止になった税制適格退職年金のバージョンアップ版と言える「規約型」と、厚生年金基金の変形版とも言える「基金型」の2つの種類があります。
また、最近では、基金型に地域、業種を問わずに加入できる「総合型」というタイプも出てきました。
確定給付企業年金は運営コストが高く、また、制度を健全に維持するための基準を満たすためには一定規模以上の企業でなければ導入が難しくなっていました。しかし、複数の企業が集まり運営をする「総合型」の普及により、中小企業も加入できるようになってきました。
A.確定給付企業年金(規約型)
確定給付企業年金の規約型は、会社と社員との間のルールを決めた退職金規程や規約に基づき、会社が保険会社や信託銀行等と契約を結び制度を運営します。契約した保険会社や信託銀行等は、会社に代わって、給付に必要な保険料(掛金)を預かり、預かった資金を運用し、給付するしくみになっています。給付に必要なお金の準備ができているかを、毎年確認するしくみも設けられています。
B.確定給付企業年金(基金型)
確定給付企業年金の基金型は、「企業年金基金」という法人をつくり、制度を運営します。この制度は厚生年金基金と類似のしくみですが、厚生年金基金との大きな違いは、厚生年金基金が国の公的年金制度である厚生年金を国に代わって運営してきた部分(代行部分)がない点です。
基金型は、次の図にあるとおり、企業年金基金が中心となって決めたルールに基づいて運営します。参加する会社はその基金に運営を任せ、掛金を支払い、給付を依頼します。2018(平成30)年12月現在、基金数は750を超え、厚生年金基金からの移行の他、総合型をはじめ、新たに企業年金基金を設立し運営していく基金も増えてきました。