2018年度 先生のための金融教育セミナー
【高等学校向け】
1.来賓挨拶
文部科学省初等中等教育局
髙瀬 智美 教育課程課課長補佐
金融広報中央委員会が、本日の「先生のための金融教育セミナー」を始めとして、教員対象の研修会の開催や、学校現場への講師派遣など、日頃から学校における金融教育に対して多大なるご支援、ご協力をいただいておりますことに改めて感謝申し上げます。また、全国から多数の先生方にご参加いただき、金融教育の充実、発展のために日々研鑽を積まれていることに対して敬意を表します。
平成34年4月から成年年齢を18歳に引き下げる民法の一部を改正する法律が、本年6月13日に成立しました。若年者の消費者被害防止、救済の観点からも、また、子どもたちが自立した経済的な主体となっていくうえでも、義務教育の段階から金融に関する基本的な仕組みや考え方を身につけるための教育を行っていくことは非常に有意義なことであると考えております。こうした観点から、学校における金融教育を充実させていく中で、金融機関の種類など単に金融知識だけを学ぶのではないことに留意をしながら、子どもたちが社会に出たときに主体的に行動するうえで必要な内容を、限られた時間の中で効果的に学んでいくことが必要だと考えております。
新学習指導要領では、自立した主体として社会に参画するために必要となる資質能力を育成する観点から、新たな公民科の必修科目として「公共」を新設しています。「公共」では、「金融を通した経済活動の活性化」に触れながら、「金融の働き」を学ぶこととしております。また、「家庭基礎」や「家庭総合」においても、「将来にわたるリスクを想定して、不測の事態に備えた対応など」に触れながら、「生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度と関連付けて考察すること」としております。このように金融の仕組みや、働きを理解するための教育の充実を図ったところです。文部科学省といたしましては新学習指導要領の内容を円滑に実施するとともに、その趣旨の徹底に全力を挙げて取り組んで参りますので、引き続き皆様のご理解とご協力をお願いできればと考えております。
本日、全国から金融教育にかかわる先生方がお集まりいただきまして、新学習指導要領の実施を見据えたパネルディスカッション、実践事例の発表、ワークショップなど、さまざまな取り組みが行われると伺っており、本セミナーは大変意義があるものと思います。本セミナーが皆様にとって実り多いものになることを期待するとともに、皆様のますますのご健勝を祈念いたしましてご挨拶とさせていただきます。