大学生のための 人生とお金の知恵
II. お金の知恵
5. お金を貯める
1) 収支を黒字にする
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「収入 > 支出」にしましょう!
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収支が黒字(収入>支出)であれば、貯蓄ができます。
→ 黒字が続けば、貯蓄が増えます。
→ 貯蓄には利子などがつくので、貯蓄はさらに増えます。 -
収支が赤字(収入<支出)であれば、借金ができます。
→ 赤字が続けば、借金が増えます。
→ 借金には通常高い金利がつくので、借金はいっそう増えます。
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収支を黒字化できるかどうかは、このように人生の大きな分かれみちになります。
2) 「天引き貯蓄」をする
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どうすれば収支を黒字化し、貯蓄することができるのでしょうか。
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「天引き貯蓄」が効果的な方法です(「先取り貯蓄」と呼ばれることもあります)。
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「天引き貯蓄」とは、手取り収入のうち、貯めようと決めた一定額を、最初に差し引いて(=天引き)、貯蓄してしまうことです
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金融機関と契約し、毎月、手取り収入の中から一定額(たとえば「毎月○万円、ボーナス月◇万円」)を自動的に差し引いて、「給与が振り込まれる口座」とは「別の口座」に入れてもらいます。「別の口座」の例としては、積立口座や財形貯蓄口座などがあります脚注10。
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自動引落しとするのが、天引きを続けるうえでのポイントです。
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私たちは、「毎月の支出を抑え、残った額を貯蓄しよう」と考えがちです。しかし、それよりも、「手取り収入から、貯蓄する額を最初に差し引いてしまい(=天引き貯蓄)、残ったお金だけで何とか生活するよう努める」方が、貯まりやすいといわれます。
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「天引き貯蓄」が効果的なのは、「給与が振り込まれる口座(日常生活に使用する口座)」とは「別の口座」に入ったお金は遠いものに感じられ、貯まりはじめたお金を別口座からわざわざ引き出すことには心理的な抵抗感が生まれるためといわれます。
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「天引き貯蓄」にすれば、何年後にいくら貯まるかも簡単にわかります。たとえば「毎月3万円、ボーナス月7万円」を天引きすれば、年間50万円が貯まることがわかります(3万円×12か月+7万円×年2回=50万円)。4年間続ければ200万円です。「手取り収入」の増加に伴い、「天引き」額を増やせば、より大きな金額になります。このように貯まる額が「見える」ことで、はげみになり、続ける意欲が高まります。
3) 貯蓄に「目的」をつける
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貯蓄に「目的」をつけることも効果的とされます。
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「目的」とは、20代の方であれば、たとえば進学・留学(大学院など)、結婚、出産・子育て、住宅、独立・開業などが考えられます。あくまでも自分のライフプラン次第です。「安心のため」「老後のため」といった包括的なものも「目的」に含まれます。
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ライフデザインやライフプランが明確で、貯蓄する「目的」が明確であるほど、貯蓄が進みやすいといわれます。
コラム8どのくらいの貯蓄が必要か
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社会人になり収入を得て貯蓄を始めるとき、どのくらいの貯蓄額を目指すべきでしょうか。
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これは、基本的にはライフプラン次第です。まず30歳くらいまでのライフプランを考え、とくにお金がかかりそうなもの(たとえば留学、起業、結婚、出産・育児、住宅の頭金など)について、必要な金額を調べます。そして、手取り収入も踏まえて、現実的な貯蓄プラン(目標額、実現時期、貯蓄する方法)を考えます。
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また、特定の目的のためのお金だけではなく、「いざというとき」のためのお金(さまざまなリスクに備えるお金)も必要です。この点も勘案して、ライフプランにかかわらず、「月々の生活に必要なお金」の「1~2年分程度」は貯蓄する必要があるといわれます。これは、病気、失業などの可能性を考慮したものです。
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あくまでも目安です。その人が置かれている状況や性格にもよります。慎重な人は、もっと必要と考えるかもしれません。
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脚注
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就職したら、勤め先の企業が従業員に提供している「天引き貯蓄」がないか確認しましょう。たとえば財形貯蓄は多くの企業で採用されています。