先生のための金融教育セミナー
2021年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
D キャリア教育に関する分野
小学校
「えーひだカンパニーkidsの活動を通して比田の未来を考える」
(5・6年 総合的な学習の時間)
島根県安来市立南小学校 仁田 喜代子 教諭
前任校の安来市立比田小学校で取り組んだ、えーひだカンパニーkidsの活動をご紹介します。この活動は、高齢化や地域の人口減少が進む中、地域の課題に目を向け、解決に向けて自分たちの役割を考え実践していく意欲を育てることをねらいとしています。2017年度の5、6年生が比田の未来のために考えたいくつかの提案の実現に向けて、2018年4月からえーひだカンパニーとの協働によりスタートしました。えーひだカンパニーは、比田の活性化のために設立された株式会社です。サマーフェスタ出店プロジェクトに始まり、比田米消費拡大プロジェクト、サマーフェスタPRプロジェクト、えーひだ市場PRプロジェクトと発展し、現在も継続しています。
2018年度は、えーひだカンパニーが毎年開催している夏のイベント、サマーフェスタに出店しました。出店準備の過程で子どもたちが最も盛り上がったのは、価格設定の話し合いです。価格を決める前には、需要と供給について学び、価格が原材料費や利益を基に決定されることや、利益には光熱水道費、人件費等が含まれていることも知りました。
サマーフェスタへの出店後、6年生が比田米消費拡大プロジェクトでおやきを考案し、2019年度は、このおやきを販売するためのお店を開店しました。2年目になると6年生が前年度の経験を生かし、5年生をサポートしながら、より主体的に活動を進めていく様子が見られました。さらに、サマーフェスタをPRするため、CM動画を作成し、地元のケーブルテレビで放映してもらうことにしました。ケーブルテレビ局や高校と連携して動画の撮影や編集の作業を進めたことは、将来の仕事について考えるきっかけにもなったようです。
この活動を通して、子どもたちは働くことの大切さと金銭を得ることの大変さに気づき、ものや金銭の流通についても理解することができました。さらに、活動の過程で多くのえーひだカンパニーの方と関わり、人々の思いや生き方に触れ、自分たちの提案をともに実現していく達成感が得られたことは何ものにも代えがたい経験だったと思います。えーひだカンパニーの構成員には多くの保護者もいるため、家庭との連携が取れるという点も魅力です。関係者との調整や準備は大変ですが、その苦労よりもメリットの方がはるかに大きいと感じています。