先生のための金融教育セミナー
2021年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
B 金融や経済の仕組みに関する分野
中学校
「生きた知識としての金銭・金融教育の実践」
(1~3年 総合的な学習の時間)
茨城県土浦市立土浦第四中学校 碓井 真人 教諭
本校は、2018年度に金融教育研究校の委嘱を受け、金融教育の実践に取り組みました。生徒たちは、成年年齢の引き下げやITの進歩、社会情勢の変化の中で、自らの選択に責任を持つ力を身につける必要があります。金融教育の面でも、中学生のうちに経済や金融についての生きた知識を身につけることが重要であると考えました。
本校は小・中一貫教育を行っており、中学の3学年を7学年、8学年、9学年と呼称しています。実践にあたり、生きた知識は実際の活動で試行錯誤する中で身につくと考え、7、8学年では商品の売買に焦点を当て、商品の企画・販売活動を通して、ものやサービスの価値や価格について考えることとしました。9学年では、投資に焦点を当てて、実際に資金運用を体験しながら、社会と経済の関わりについて考えました。
7学年での商品を販売する活動では、夏のPTAや体育祭での商品販売の活動を振り返り、改めて商品を企画し、学区内の小学校でのバザーで販売しました。冬にはPTAで活動報告とパネルディスカッションを行いました。8学年では、地元の金融機関の方を招いて経営についての講義を受けた後、クラスごとに商品の企画、試作を行いました。試験販売を経て、地域イベントでの出店やショッピングモールなどでの販売を継続的に行いました。9学年では、投資の体験学習を行いました。投資の仕組みについて理解を深めるため、金融機関の方を招いて講義をしていただき、その後、実際の株価と連動するシミュレーションソフトを用いて企業に投資し、株価の変動や社会情勢の関係についての学習を重ねました。最後に、振り返りと報告会を行いました。
実践の結果、7学年では、お金を稼ぐことについて具体的にイメージすることができるようになりました。8学年では、継続的に販売活動を行う中で、どうすればより利益が出るのかを考えることができるようになり、ものの価値や価格の仕組みについての知識が身についたと思います。9学年では、投資体験を通して株式の仕組みや株価の変動について考えたことで、経済についての理解を深めることができました。
今後は、小・中連携を通して系統的に学習を行うことが課題です。また、投資の学習を行う上では、十分な知識や準備が必要となるため、普段から身近に経済や金融について考える機会を用意し、長期的に学習する必要があると考えています。