2017年度 先生のための金融教育セミナー
【高等学校・大学向け】
1.来賓挨拶
文部科学省大臣官房
平野 誠 教育改革調整官
金融広報中央委員会におかれては、教員対象の研修会の開催、あるいは学校現場への講師の派遣、教材の作成など、日頃から学校における金融教育に対し、多大なるご支援、ご協力をいただき、改めて感謝申し上げます。また、全国から多数の先生方にご参加いただき、先生方が日々研鑽されていることについても、深く敬意を表します。
金融は、現代社会に生きる私たちの生活にとり不可欠なものです。金融という言葉を意識せずとも、日々限りあるお金を管理しながら、どのように消費するかについて意思決定を行ったり、貯蓄したり、事故や災害、病気に備えて保険に加入したりしています。子どもたちが自立した経済的主体になっていくうえで、金融教育を行っていくことは非常に有意義なものと考えています。一方で、金融機関や金融商品の種類など、単なる金融知識だけを学ぶことだけにとどまらないよう留意しながら進めていくことが必要です。子どもたちが実際に社会に出た時に役立つ内容を、限られた時間の中で、効果的に学んでいくことが求められています。
こうした金融に関する教育の重要性に鑑み、例えば、現行の高等学校の学習指導要領においては、特に公民科を中心に行われていますが、金融制度や資金の流れの変化について学ぶ中で、中央銀行の役割や金融政策の目的と手段、キャッシュレス社会の進行、金融商品の多様化などについて学習されています。また、家庭科でも、生涯を見通した生活における経済の管理や計画について学習することになっており、家庭における収支バランスや計画性、不測の事態に備えた貯蓄や保険などの資金計画に関しても生徒の関心が寄せられるよう、授業が行われています。
高等学校の学習指導要領については、現在、改訂作業を行っているところで、今年度末までには新学習指導要領を公示すべく作業を進めています。小学校、中学校に関しては、既に本年3月末に新学習指導要領を告示しており、例えば、小学校の家庭科において売買契約の基礎を、あるいは中学校の技術・家庭科においては計画的な金銭管理の必要性を、さらに中学校の社会科においては起業について、新たに書き加え充実を図ったところです。高等学校に入ってからこうした金融に関する知識を学ぶのではなく、小学校段階から発達段階に応じて学んでいくよう、小・中学校においても充実させたところです。
こうした流れを踏まえ、高等学校公民科の新しい科目である「公共」の中身をどう設計していくか、あるいは家庭科の中身も見直しますので、そうした中でどう位置付けていくのか、現在検討しているところです。
本日は全国から金融教育に関わる先生方が多数お集まりいただき、新学習指導要領を見据えたパネルディスカッション、実践事例の報告、ワークショップなど、様々な取り組みが行われると伺っており、本セミナーの意義は大変大きいと感じています。
本セミナーが皆様にとって実り多きものになることを祈念いたしまして、また、お集まりいただいた皆様方のますますのご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。