第46回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
第二分科会講義(要旨)「悪質な金融商品の勧誘に備える」
リスク商品を買う資金
金融商品を買うときに大事なことは、その金融商品を買おうとしているお金が自分にとってどういう目的で使うお金であるか、すなわち資金の性格を考えることです。
資金には住宅や教育のためのライフ資金、リストラや病気等生活の準備のための準備資金、そしてそれら以外の利殖資金があります。このうち、利殖資金がリスクのある金融商品を買ってもいい部分です。
私が一番詳しく説明したいのは投資信託です。全部ファンドマネージャーに任せて、素人でも、株を知らない初心者でも買える商品だと、投資信託が積極的に売られています。投資信託のメインは基本的にはファンドの中身がほとんど株で、主な投資信託はリスクが限りなく株に近いのです。
また投資信託には非常に多くの費用がかかっています。銀行で買うとき、銀行によって違いますが数%の費用がかかります。解約をするときに信託財産留保額というものを取るところもあります。それから信託報酬が毎日かかります。
100万円投資してリターンが5%とします。信託報酬が1.5%の場合、20年後に受け取るお金は199万円、同じ条件で信託報酬が0.5%なら、20年後に返ってくるお金は241万円です。信託報酬が最終的なリターンに大きな影響を及ぼすので、信託報酬をきちんと確認しなければいけません。
さらに、株を売買するときの手数料、事務費、諸費用、監査費用なども引かれます。外国では費用に対してシビアで、法律でも費用の表示が義務づけられていますが、日本はその点甘いし、消費者の意識もとても甘いのです。
投資信託については、株100%で運用するものなら株と同じリスクがあること、費用が大きな元本割れの要因になることを押さえていただきたいと思います。
次に個人向け国債です。とても買いやすい国債ですが、すべて口座で管理しますから、国債専用の口座を開設する必要があります。同じ国債なら口座管理手数料が無料のところで口座を開設するほうがいいでしょう。
新しい個人向け国債の中途解約は政府が全部買い取る形になっていて、10年持てば全額返ってきますが、中途解約すると過去2回分の利息をペナルティーとして取られます。また、国債にも格付けがあり、日本の国債の格付けはかなり下のほうに向かっていますので、日本の国債の安全性もよく考えて選ばなければいけないと思います。
外貨預金は、預金保険の対象ではないこと、円高、円安の影響を受けるので、高い金利もあっという間に吹っ飛んでしまうこともあります。基本的にはリスク商品で利殖資金でしか買えません。