第45回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
全体会講義(要旨)「不良債権と私たちの暮らし」
ペイオフ解禁の対策
次にペイオフの解禁についてご説明しましょう。
今までは預金をしていた銀行等が倒産、破綻をした場合でも、預金全額と利息が戻ってきました。そうした預金全額保護の措置が撤廃されるというのがペイオフの解禁です。昨年の4月からペイオフの解禁が一部実施されています。定期預金、定期積金など、今までは全額保護だったものが、合算して元本1,000万円までとその利息ということになりました。
実は、普通預金、当座預金も2003年4月1日から全額保護の措置が外れる予定でしたが、2005年の3月31日までは全額保護が延長されています。この延長された2年間に皆さん方は十分勉強をして、しかるべき対策を取っておかなければなりません。
また、このペイオフの解禁で悩んでいるのは、個人だけではないのです。一つは企業です。より悩んでいるのは地方自治体です。地方自治体は地方税を預かっています。実はこれもペイオフの対象になっています。ですから、各自治体の出納長、収入役は頭を悩ませています。では預金先として安全な金融機関をどう選べばよいのか、ポイントをあげてみましょう。
ポイントとしては、(1)格付け、(2)自己資本比率、(3)預金量の推移、の3点が考えられます。格付けとは、もともとはその企業とか銀行が発行する債券、預金債務の返済の可能性をランク付けしたものです。この格付けがパーフェクトかというとそうでもなくて、一つは格付けを取っている金融機関が限られているということです。中には格付け機関側が勝手につけているところもあります。
(2)の自己資本比率は、先程説明したとおり重要な指標です。
また、預金量の動きについても、関心を払う必要があります。もう一つ重要な指標は銀行の株価ですが、株価が完全かというと、そうではなくて、上場しているのは銀行に限られるのです。信用金庫、信用組合は上場していませんので、こういうデータがとれないのです。いずれにせよ、自己資本比率、株価等についても本当の銀行の実力を必ずしも完全には反映したものではない、ということです。