第45回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
第一分科会講義(要旨)「先を見据え、今を生きる」
日本社会の変化
本日は10代後半から30歳前ぐらいまでの方を前提にして生活設計を考えてみたいと思います。
日本の社会は経済成長の社会から成熟社会となっています。終身雇用・年功序列から労働の流動化・実力主義へとなっていて、会社に入れば一生安泰というわけではありません。
また少子・超高齢化で、2050年には人口が今より約2,600万人減少する予想です。その時に、老後の年金とか医療というのが非常に問題になると思います。
ここから何が言えるかというと、経済的自立・精神的自立、つまり、まず自分で生きる力を身につけることが大切です。子どもが経済的・精神的に自立することは、親の老後にとっても非常に重要です。
フリーターの現状
フリーターという言葉ができたのは1987年、バブル期です。
そのフリーターのパターンが三つに分かれていて、一番多いのが「とりあえずフリーター」で、暗中模索型と現状満足型に分かれます。それから「夢を叶えるまでフリーター」です。最後は「就職するまでフリーター」で、できれば直ぐにでもフリーター生活から抜け出したいと思っているのです。
「とりあえずフリーター」という層をさらに分類すると、積極的にフリーターを選択したタイプと、仕方なくフリーターになったタイプがあります。
しかし、両者とも大半がいつかは希望する仕事につきたいと漠然とした将来設計を描いています。まだ若いので、こつこつと手を打っていかなくてもいいと思っていますが、将来の生活設計をきちっと立てることは、とても大切だということを知ってもらわないといけません。
もし一生フリーターで過ごしたらどうなるか。夫婦ともフリーターで標準的な生活費でシミュレーションをしてみると、貯蓄は余り増えていきません。出産もせずに支出が嵩まなかったとしても、60歳で働くのを辞めると、退職金もありません。国民年金を掛けていなければ、年金もありません。一生フリーターで行くと未来はないのです。
変化に対応できる生活設計
では、なぜ今ライフプランが必要なのか?将来のことを考えて手を打とうというのがライフプラン、生活設計です。
バブルがはじける前までは、明日は今日よりいい、資産も土地を持っていればどんどん値上がりしていくという話でした。
ところがバブルがはじけて、ガラッと変わってしまいました。会社が突然倒産したとか、年金が減ったとか、固定的にあると思っていたものがなくなって、動揺しているのが今の状況かと思います。
基本的に人生は変化するのだと考えて、変化を見ながらそれに対応していくという考え方を持つ必要があります。つまり、ライフプランは良い時と悪い時があるという前提で考えなければいけないのです。
また、大切なのはライフプランに加え、キャリアプランとマネープランの目標を持つことです。
キャリアプランでは、30歳の時にはどういう仕事に就いて、どういうキャリアを持っていたいかを、20代の時に具体的に考えておく必要があると思います。マネープランとしては、30歳までにある程度のお金を持っておかないといけません。
ライフプランとキャリアプランとマネープラン、三つのプランをある程度立てておく必要があるというわけです。