第45回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
第二分科会講義(要旨)「お金に関する子どもの疑問にどう答える」
理屈よりも感覚で教えよう
5年前の4月1日、これはわが家ではビッグバンの始まりの日です。1日といえば、金銭コミュニケーション会議の日です。いいチャンスです。僕はその日から小遣いをドルで渡すようにしました。今までの100円を1ドルという評価にしたのです。
次の日に子どもを銀行に連れていきました。カウンターの端に外国為替というのがあります。このお金を持ってあそこへ座って、すみませんがこのドル、円に換えてもらえませんかと言ってこいと行かせたのです。親が行ったらいけません。
一番初めは1ドルが130円ぐらいで、とりあえず10ドル持っていかせたのです。自分の頭では1,000円くれると思っていたようです。そうしたら1,300円くれた。何でとなるわけです。
「お父さん、何で300円あるの?」と言った時に、今必ずと言っていいほどニュースで出る為替相場を教えるのです。「今日は128円58銭と書いてあるやろ。だから128円で換えてくれんねん。」「明日はちゃうの?」「明日はちゃう。わからへん」と。あとは、自分らで換えに行っています。
でも、ある一定の相場の時は行きません。円高の時です。105円に近くなったら行きませんでした。何故かというと、手数料を取られるというのがその理由です。
こういうのは理屈で教えるより持たせた方が早いと思いました。結構そういう面では、子どもは大人以上に感覚で覚えてしまう部分があると思います。
子どもが夢を持てる社会を作る
「子どもの夢を知っていますか?」という点ですが、面白いのは、小さな頃ほど夢を持っているのです。「何になるかわからへん」というのが確か10%ちょっとぐらいだったと思います。これが中学に入りますと、「わからへん」という子が30%以上になるのです。
これはだんだん現実がわかってくるので、そういう部分では非常に夢をなくしている子が多いのです。ある意味では大学行くことが一つの目標になってしまって、それから先の夢がないということをよく言われます。
これからの子どもたちには夢をなくさずに、一歩一歩前に進んでいくようにしていただきたいと思います。
今まではどちらかというと日本という小さな村社会があって、そこで隣近所の人を尊敬、またはいたわり合っていた。そこにできた子どもは自分の子と同じように悪いことをすれば怒り、いいことをすれば褒めるということがありましたが、今や隣の人が誰か知らない、見たこともない、名前すらわからないというのが現実ですから、そのようなことはできません。そういうことに対しての警鐘を子どもたちが発しているのではないかなと思います。
昔は、貧しかったかもしれないけれども気持ちの面とか、人間関係というのは、今よりも温かかくて、大きかったような気がします。そういうものは、今はなくしつつあると思いますので、その辺はできるだけ子どもの頃にちょっとでも芽生えさせていかないと、こんなもんだと思っていっちゃうと、いつまでたっても、こういう時代は変わらないのではないかなと思います。