第45回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
全体会講義(要旨)「不良債権と私たちの暮らし」
自分の生活は自分で守ろう
では、どうしたらいいのでしょうか。
まず申し上げたいのは、我々を取り巻く環境の厳しさはまだまだ続くということです。財政も非常にピンチです。国と地方を合わせると借金が大体700兆円位になっています。国民1人あたりに換算すると大体560万円です。4人家族だと2,240万円です。こうなると、どこかの時点で大幅な増税をしないと、景気回復だけに期待していては多分だめなのです。
それから年金問題があります。その根っこは少子高齢化です。
先般、厚生労働省がショッキングな案を出しました。現役世代の払う保険料が、今、年収換算で大体13.58%です。しかし何年か後には負担率を23.1%にせざるを得ないと言っています。
そんなに保険料を取ると反乱が起きるので、今度は年収の20%までに給付水準を押さえようと考えています。その場合の給付がどれくらい減るかですが、例えばある全国紙の試算では41歳、年収580万円の会社員で年金が約1,000万円減るのです。専門家によるとこの前提でもまだ甘い、という話です。ですからもっと減る可能性が高いのです。
そういう生活環境の厳しさを考えますと、重要なのは自助努力の大切さ、自分で自分の生活を守るということです。その場合必要なのはおそらく3つあると思います。
一つは健康です。二つ目は専門性とか技術、飯を食っていける能力です。三つ目はいざというときの蓄えです。金融資産等をしっかりと持つということです。しっかりと自分で情報を集めて、自分で学んで自分で判断をするということです。
そこで重要になるのが経済・金融に関する教育活動です。
例えばアメリカでは、小学生に株式投資を実践的に教えています。ところが日本の学校はやっていません。今の大学生、株式投資の何たるか、どういうリスクがあるのかについて、理解している人はほとんどいません。従って本日出席の皆さんのような方々が、一般の方々に情報を提供するのが重要だということです。