第45回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
第一分科会講義(要旨)「先を見据え、今を生きる」
資金を運用するということ
老後資金についても知っておいて欲しいことがあります。
会社員の方を前提に60歳で退職する時にどのくらいお金を持っておく必要があるかについてです。端的に言うと3,000万円ぐらいです。仮に60歳の時に2,000万円持っていて、それを税引き後年利2%で運用すると、80歳まで月に大体10万円使えます。3,000万円あると月15万円ぐらい使えます。
会社員の平均厚生年金は今22~23万で、月30万円で暮らすのであれば10万円ぐらい足りません。その部分を穴埋めするのがこの2,000万円のお金だという感じです。でも、60代の前半は年金が出ませんので2,000万円では不足です。そこで退職金も含めて3,000万円ぐらい必要というわけです。
3,000万円というのは大変なお金ということで、運用的なお話をしたいと思います。たとえば新入社員が22歳から1万円を年利2%で60歳の退職まで積み立てていったとします。60歳までにいくらになるかというと683万円です。仮に5%で運用できたらどうなるかというと、38年後は1,364万円になります。8%ぐらいで運用できると2,974万円です。
では、30歳から同じことをやったらどうなるでしょうか。30歳ですから30年後になるので、8%で回っても1,500万円です。22歳と30歳と8年間の差で可能性は半分になるのです。期間が長いほど複利で増え方が著しいということです。
時間がたくさんあること自体、資産であると捉え、若い時から、運用ということを考える時代になっているのです。キャリアアップし収入を増やし、積立に向けるお金を増やしながら運用に向けるお金があると、老後資金を3,000万円つくるのは可能ということです。
職業観を持つ
アメリカのニフィー(全国金融教育基金)という団体の高校生のためのテキストで、きちんと職業について考えましょうというのが出ています。
このテキストでは財産、資産というのは人の内面に備わっている有益なもの、金銭的に価値があるものであるとしています。そして、人生最大の財産の一つは、職業から生じる収益力です。職業を持つことが非常に大切だということです。
キャリアというのは収入を得るために選択した職業のことで、キャリアを積んでいくと、仕事の能力が高くなり、やりたいことができます。
そういうキャリアを持つためには、まず教育が必要です。それから経験です。経験は潜在的な収益力の増加につながります。
また、雇用者が求めているものというのがあって、専門的な能力以外にだれでも仕事に必要な能力というのがあります。協調性とか責任感、問題解決能力と創造的思考力、コンピュータ処理能力、多様性と柔軟性、コミュニケーション能力などです。つまり専門的な仕事以外の人間性教育も必要というわけです。
これらを含めてキャリア形成を20代でしなくてはいけません。それを単純にフリーターでいくと、本当に広い意味での資産を持たないまま30代に入ってしまうことになると思います。
したがって、30歳の時にどういう自分になっていたいかということを中心に、仕事の面とライフプランとお金について、細かい設計を立てていくのが必要ではないかなと思います。