第46回 全国婦人のつどい
「暮らしと金融・経済に関する消費者セミナー」
全体会講義(要旨)「年金制度の将来と私たちの暮らし」
これからの年金制度
年金制度に対する信頼をどう取り戻すか、これには世界では一つしか方法がないというのが、専門家の共通の意見です。
それがスウェーデン方式といわれるものです。みなし掛け金、これは保険料拠出と給付が直接結びついているということで、給付の算定方法を変えるということです。
今年、保険料を10万円払いました。このお金を仮に市場で運用したら、運用利子が乗っかります。市場金利が5%だったとすると、10万円払い込んで期末の段階で10万5000円の年金資産がありますと本人に通知します。来年、また10万円保険料を払いました。20万5000円の原資を元に運用します。また5%、利子を生んで利子相当分は1万数千円になります。そうすると2年目の期末段階であなたの年金資産は21万数千円です、という報告を個人に出します。
毎年そういうことをして、拠出記録を毎年残して本人に通知します。年を取った段階でその年金資産を元に、平均余命で死ぬことを前提にして年金を毎年払うと、1年間にあなたの年金額はいくらですという結果がでます。
これが世界共通のベースになろうとしている制度で、日本版401kと考え方は同じ仕組みです。このみなし掛け金建ての制度では、受給開始年齢は自分で選ぶシステムとなっています。
では、痛んだバランスシートをどう健全化するか、債務超過をどう圧縮するかですが、給付債務を圧縮して、財源を投入するしかありません。過去の部分については税金を集中的に投入して、バランスシートの改善を図るしかないのではと私自身は考えています。
政府案は、どうも経済の動きと離れてかなり硬直的な、乱暴な負担調整をしようというように思えます。なぜもう少し弾力的に柔軟に負担増を仕組めないのか、その対案を皆で用意して現在の政府案との比較をし、賢明な選択を将来に向けてなさっていただきたいと思います。
(年金改正法案等については、講師が3月1日現在で修正した内容を記載しています)