金融教育に関する実践報告コンクール
「金融教育を考える」第1回小論文コンクール(平成16年)
高校「現代社会」で多重債務問題をどう教えるか-私の提言-
優秀賞
熊本県・熊本県立松橋高等学校:三島 俊英
3. 授業後の生徒たちの感想
授業後の生徒たちの感想文の中で、特徴的だったものを紹介する。第一には、クレジットカードのことが分かったというものである。
「私がこの授業で一番よく分かったことは、クレジットカードのことです。CMとかで芸能人が宣伝したりして、良い感じに見えるけど、一歩間違えばヤバイことになるんだなと思いました。あと、金融会社にも、ヤミ金融とかいやな会社があるんだなあと思いました。
その他に、『Q&Aのこんなときどうしたらいいの?』では、私が知らなかった色んなことが、たくさん分かって良かったです。契約書にハンコなしで、署名だけしかしてないのに、契約は取り消せないことや、保証人には全責任がまわってくることなどなど。
私が社会人になって、もし困ったことやわからないことがあったら、この『きみはリッチ?』を開こうと思います。それでも、わからなかったら、三島先生にたずねます。私がこれから心がけることは、社会人になって、どうしてもお金が必要になったとしても、サラ金やヤミ金には絶対に手を出しません。それから、くれぐれも調子にのって、カードだらけの財布にならないように気をつけます」。
第二には、学力が高いとは言えない生徒も、興味・関心が持てたというものである。
「自分は、カードっていいものだと思っていたけど、そういいことばかりではないなーと思った。すごい、いい勉強になったなーと思った。自分の父も昔、借金をしていた。けれど、払えきれないからじいさんが払ってくれた。母もカードで借金をしたことがあるので、今はもうカードは持っていないと言っていた。
『きみはリッチ?』を習い、はじめて社会のことが分かってきて、とても授業が楽しかったしおもしろかった。授業でもらった資料は、将来自分が借金をしてしまうことがあるかもしれないので、とっておきたいなーと思う。『きみはリッチ?』を勉強できておもしろかったし、今後絶対役にたつと思うので、勉強できて良かったです。あと保証人には絶対になってはならないなーと思った。
あと借金をしてしまったら、他の人に相談した方がいいと習ったので相談したいです。でも、相談するとき嘘をついてしまう人が多いと習ったので、正直に相談して解決したいです。あと絶対、ヤミ金には借りないようにしようと思った。このような授業があって、とても良かったなーと思った。楽しかったです」。
そして、第三に、解決方法を知ることで、生きる勇気が出てきたという感想である。
「今回、多重債務をした場合の対処を詳しく学んでわかったことは、何に対しても、必ず解決策があるということだ。どんなに追い込まれた状況でも、決して一人にならず誰かに打ち明け、早めに弁護士などに相談すれば、自分を自殺に追い込むこともない。
借金のせいで自殺する人が多い世の中を見ると、国内ではいったい何人の人がこの方法を知っているのか、きっとその数はとても少なく、それを知ることのできる仕事をしている人以外、理解はできていないと思う。しかも、その知っている人に相談する行為さえ知らないために。
どうすれば返せるのか。それは一人で閉じこもらないこと、絶望に近くても、まったく望みがなくなってしまった訳ではないことを、早く気付かなければならない。まず、それが一歩だと思った」。