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金融教育に関する実践報告コンクール

「金融教育を考える」第1回小論文コンクール(平成16年)

金融教育(ひとり立ちのできる人間をめざそう)

優秀賞

東京都・中央大学杉並高等学校: 髙橋 直子

はじめに

わが国では長年、「性のはなし」、「お金のはなし」は日常タブーとされてきた。収入を人前で話すことや、「もうかった」などの言動は下品とされていた。そのため、金銭問題に関しては、曖昧な、暗黙な了解でも約束は成立し、事なかれ主義に生活が培われてきた。

この長年のタブーの突破口になると思われることが1988年の文部科学省の現行学習指導要領の告示であったと思う。この改訂では、特に、高等学校家庭科で消費者教育を充実し、「家庭経済と消費」を独立項目にし、消費者としての自覚に重点をおき、「消費者教育の重要性」が強調されることになった。また、1999年改訂の新学習指導要領では「自己責任を負え、自立した消費者」を育てるための消費者教育が重要視され、消費は権利と責任を具体的に理解させることに重点を置き、「契約成立」、「契約効力」、「解約」などの項目を取り上げ、消費者一人一人が確実な知識を身につけ、適切に判断し、責任ある行動をとることも重点にあげられている。

また、金融に関する消費者アンケート調査(金融広報中央委員会・2003年)によると学校における金融教育についての期待は、(1)小学校ではお金の大切さ、(2)中学校では基本的な金融、経済の仕組み、(3)高校では資産運用の自己責任意識の重要性があげられている。

文部科学省、金融庁、啓発民間団体の金融教育サポートは学校に大きな期待かけている結果だと思う。

教育現場

それでは、教育の現場(高校)ではどのように金融教育が行われているのであろうか。各学校では、金融教育が家庭科で扱われていたり、公民科現代社会で扱われていたりで、独立した科目として設けられていないため、各学校の独自の扱い方になっている。

内閣府によると、「学校における消費者教育の実態調査」では、多くの教師が、消費者教育の必要性を強く認識し、実施している。つまり、金融教育の内容は各担当教師の才覚によるところとなる。

私が遭遇した実態では、相変わらず生徒受けの良い調理実習を優先にして、金融教育の時間数を少なくしたケースも見かけた。また、中には、「クレジットカードは危険」という先入観を持っているため、短絡的に「クレジットカードは持ってはいけない」と断定的な指導をする教員も見かけた。さらには、「お金教育、そんなに必要ですか」と聞いてくる教師にも遭遇した。ある学校の管理職教師は、「わが学校には金銭問題に巻き込まれる生徒はいない」と主張された例もあった。しかし、「これからは、消費者教育は大切だよ!」と重要視する学校もあったことは事実である。このように、種々様々の教育現場である。

文部科学省の消費者教育にかける熱意はストレートに教育現場に浸透される提示だと思われたが、実態は、いろいろな事情により教育現場に均等に浸透されていないのが現実である。

金銭教育の実践にあたって

金銭教育をする前に親と子供(高校生)の金銭感覚の実態を知るため、携帯電話(保護者の同意が必要な契約商品)に焦点をあてたアンケート結果を参考にした(添付資料(1)「携帯電話と高校生の実態」)。

この結果により以下のことが分かった。

  • 高校生の9割以上が携帯電話を所持する。
  • 利用料金支払い者の99%は親である。
    (教育ローン、住宅ローンの支払いを抱えているにも関わらず)
  • 携帯電話の利用内容は仲間はずれにならないためのコミュニケーションにすぎない。

アンケート結果より、親と子供(高校生)の利用料金に金銭感覚のズレがみられた。低成長時代からマイナス成長時代の社会で子供のおしゃべり代を無意識に支払っている親に問題があると思う。欲しいもの、やりたいことが安易に手に入ることを、体験している子供達は「金銭感覚が麻痺した」状態で社会に出ることになる。そこで金銭教育の必要性を重く感じ、自立した消費者を育成するための指導・授業内容を計画した。

学習指導計画

単元名:
金銭教育(ひとり立ちのできる人間をめざそう)
単元の指導計画:
10時間
授業計画書:
添付資料(2)を参照
学習内容:
プリント、ビデオ、新聞、広告
指導上の留意点:
生徒はお金に対する問題意識が低いため、以下を重視した。
(1)シミュレーションを体験させること。
(2)社会情勢を織り込んだ「かたり」授業の形態をとること。
(3)生徒からの生の声を聞くこと。

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