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金融教育に関する実践報告コンクール

「金融教育を考える」第1回小論文コンクール(平成16年)

「鶴」の授業~クラスを一つの市場経済に見立てたシミュレーション活動による経済学習の実践~

優秀賞

静岡県・浜松市立神久呂中学校:野島 恭一

3. 実践の成果

まず、何よりもシミュレーション自体を生徒たちが毎年大変楽しんで、しかも真剣に取り組んでいる。そして、シミュレーションをやった後の35分の授業は、それのない授業より大変集中でき、密度の濃い授業になるのである。経済理論を理屈だけでなく体で学んでいくので、認識のレベルが表面的な言語知識ではなく、行動と結びついた広く深いものになっていくのがよくわかるのである。

ある女子生徒は感想をこう書いている。

(企業をやって考えたこと)
「鶴を作る時気をつけたのはやっぱり丁寧に折ることです。きれいな鶴で色もきれいな物を作るようにしました。多少値段が高くてもきれいな鶴なら買ってくれる人もいたけれど、それでも、値段が安くてきれいな鶴を買っていく人が多かったです。また、友達に『水色の鶴ある?』って聞かれた時、私は『鶴を持ってるのは男子だから聞いてみるね』といいました。そうしたらその後で『やっぱりいいや』と言われました。その時すぐに男子に聞けば良かったと思いました。信用って簡単そうだけど人に信じられるということはとても難しいことだと思いました。また、とても大切なことだと思いました」。

生徒の創意工夫や個性が鶴の企業経営に表れ、千羽鶴の美しさや配色のセンスは生徒の生活感覚が見て取れる。政府を担当する生徒が工夫すると、そのクラスの鶴の生産消費は大変活発になる。「起業家精神」、「豊かで堅実な経済生活を営む能力や感覚」、リーダーに必要な「集団全体を見る視点」など、普通の授業ではできない様々な公民的資質を育成できると感じている。個人のミクロの視点と市場全体のマクロの視点を同時に提供するこのシミュレーションならではの効果だろう。さらに、普通の経済の授業では、教科書が経済原理と現実の経済問題が混在した編集になっているのでとてもわかりにくい。例えば、環境問題は「政府」の「環境政策」、「企業」の「リサイクル製品」、「家計」の「環境を意識した消費行動」と別々に扱われている。これでは、ただでさえ講義中心で退屈になってきているところへ、現実の問題を散発的に表面的に学ぶので、生徒は個々の問題の暗記にとどまってしまい、背景にある原理に思考が及ばなくなりがちなのである。

鶴の実践では、先にシミュレーション授業で経済原論をきちんと教え、その時は具体的な問題は捨象する。そして、最後の第6単元で現実の問題を日本と世界に分けて講義し、その中で環境問題を一括して取り扱うのである。そのため、個々の問題を表面的に暗記するのでなく、背景にある経済発展の構造の問題として深く考えることができるのである。

第6単元の最後に、鶴モデルで培った市民社会の経済原理をふまえ、世界と日本の経済発展を理性的にコントロールする可能性を考えさせて、この鶴の経済の授業を閉じる。

この頃には、各クラスで2~3本の千羽鶴が見事に背面黒板に飾られて、2学期の晩秋の教室を飾るのである。

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