相続税と贈与税
5.相続財産の評価はどのようにするか
相続税の計算の基礎となる相続財産の評価は、財産の種類により次のように細かく決められています。
預貯金
相続開始の日の残高に、その日に解約した場合に支払われる利息から源泉所得税を控除した金額を加えて評価します。
上場株式
相続開始の日の終値、その月の毎日の終値の平均、前月の毎日の終値の平均、前々月の終値の平均のうち、一番低い価額で評価します。
上場されていない会社の株式
その株式を発行した会社を大会社・中会社・小会社という規模に従って分類し、次にその株式を取得した人がその会社の同族株主であるかどうかによって、①配当還元方式、②類似業種比準方式、③純資産価額方式のほか、④上記②と③の併用方式など、それぞれ異なった方法で評価します。
家屋
固定資産税評価額で評価します。固定資産税評価額は、その建物の所在地の市町村役場(東京都の場合は都税事務所)で調べれば分かります。この評価額は3年ごとに改定されます。アパートや貸家の場合には借家権の割合を減額して計算します(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)。
土地
土地は、原則として、宅地、農地など土地の用途による区分(地目)ごとに評価します。
土地の評価には、登記簿謄本のほか間口・奥行の分かる公図が必要です。
土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」があります(詳細は次の項を参照)。
宅地
市街地の大部分で使われる路線価方式は、その土地の面している道路に1平方メートル当たりの評価額が付けられており、面積にこの評価額を掛けて計算します。しかし、同じ道路に面していても、間口の狭い土地や、角地・崖地・袋地などの土地は、その事情に応じて特別の計算をします。
郊外地で使われる倍率方式は、固定資産税評価額に地域ごとに定められている倍率を掛けて計算します。
借地権
借りた土地に建物を建て、地代を払って利用している場合には、まず通常の方法で土地を評価し、その価額に借地権割合を掛けて計算します。この借地権割合も地域によって異なります。
貸宅地
借地権を設定した後地主に残っている底地の価額は、その宅地の価額から借地権の価額を控除して計算します。
貸家建付地
土地に貸家を建てて貸している場合には、下記のように借家人の権利として計算される金額を控除して評価します。
貸家建付地の評価=自用地の評価額-(自用地の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
農地
純農地と中間農地は固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算し、市街地農地は宅地並みに評価した価額から造成費を控除します。また、市街地周辺農地は原則として市街地農地の80%で評価します。
路線価、倍率、借地権割合
その年の路線価や倍率、借地権割合などは、毎年8月に全国の税務署で公表されます。
国税庁のホームページにある「路線価図等閲覧コーナー」で全国の路線価図を見ることができます。
財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(国税庁HPへリンク)
ゴルフ会員権
原則として通常の取引価額の70%で評価します。
書画・骨董など
売買実例のあるものはその取引価額、その他のものは精通者の意見などを参考に評価します。