先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
オンデマンド配信の内容
金融教育の専門家による授業のヒント
「資産形成の基本をやさしく教える方法」
全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会 委員
ファイナンシャルプランナー
風呂内 亜矢 氏
資産形成の基本を優しく教える方法について、三つのトピックスに分けてお話します。
一つ目は、資産形成の基本を教えるにあたっては、伝えないといけないことは意外と少ないということです。お金や資産形成について、最新の情報や膨大な情報を伝えると喜ばれるのではないかと勘違いしてしまうことがあります。でも、不安を抱きながらも基本的なことをお話してみると、「目から鱗が落ちた」という反応を頂くことがとても多いです。先生方はこれまでも授業で収支の管理やライフプランについて、基本を丁寧に伝えてこられたと思いますが、資産形成の授業においても変わらず基本の部分を押さえることが重要なポイントになるということです。
二つ目は、資産形成における投資についてどう伝えるかということです。「少額」「長期」「分散」「積立」の四つを守ることで、多くの方にとって投資を資産形成に組み込みやすくなるのではないかと思います。過去に一気に大金を投資したが、ものすごい勢いで暴落をしたので、怖くてもう二度と投資はしたくないという体験談は本当に多いです。その点で、少額で投資を始めるということは、非常に重要なポイントです。また、短期で運用成績を収めることを目指すのではなく、長期的な視点で自分が好ましいと思える運用成績を収めるような金融商品を選ぶこと、そのために長期的に置いておける余裕資金を投資に回すこと、性格が異なる金融商品に分散投資するということも重要です。株価や市況を見計らって金融商品を買うというのは非常に難しいものがあるので、毎月淡々と積立投資を続けることも大切です。資産形成の授業で投資について伝える際は、「少額」「長期」「分散」「積立」の四つにフォーカスすると伝わりやすいのではないかと思います。
三つ目は、先生方にぜひご自身で試していただきたいということです。以前に比べて投資の環境は非常に整ってきていて、少額で投資を始めることができますし、ポイントによる投資も可能です。先生方がご自身の体験談を授業でそのまま語る機会はあまりなくても、自分が体験しておくと、「ここはより熱意を持って伝えたい」「この辺りが重要だな」というような力加減がきっと変わってくると思います。