先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
オンデマンド配信の内容
現役教員による授業実践
「金融教育を活用した商業教育カリキュラムの開発
~金融教育の実践と新学習指導要領(平成30年告示)への対応~」
鹿屋市立鹿屋女子高等学校 新留 崇夫 教諭
鹿屋市立鹿屋女子高等学校は鹿児島県大隅半島の唯一の女子高として1958年に開校しました。情報ビジネス科では、資格取得に重点を置きながら、キャリア教育にも積極的に取り組んでいます。
金融教育を活用したイベント型地域貢献活動「キッズビジネスタウン®」について紹介します。これは、本校生徒が企画するキッズビジネスタウン®の中で、小学生が模擬商店での就労を通して経済の仕組みの体験活動を行うものです。キッズビジネスタウン®の市民となった小学生は、タウン内のハローワークで求人を探し、労働して給料を受け取り、税務署で納税した後、残りのお金で買い物や食事などの消費活動を行います。小学生に期待される効果としては、働くことの楽しさ、大切さを知ることによる職業観・勤労観の育成、問題解決能力の育成があります。本校生徒に期待される効果としては、金融知識の習得とともに、企画の発案から具現化までの学習の深化、小学生のサポートを通した起業家としての責任感の育成、問題解決能力の醸成があります。毎年約 800人が来場するこのキッズビジネスタウン®は、鹿屋市の産学官連携を基軸としたキャリア教育実践の場となっています。
新学習指導要領のもと、これからの商業教育は、体験や経験から知識を学ぶ新しい教育体系が求められています。また、教育現場では開かれた学校づくりに期待が高まっています。地域とかかわることは、多様な生き方や価値観に触れることになり、子どもたちの夢や人生の選択肢を増やすことになります。地域と連携した専門性の高い授業は、子どもたちの興味関心を高め、学習意欲の向上と高い知識の理解へとつながります。これらを活用して金融教育を推進することは、主体的に行動できる態度と人間性を養うことになります。
全国の商業科では、地域や企業と連携した特色ある取り組みが行われています。商業科のキャリア教育の優れた点は、「地域との連携」と「活動の組織化」です。地域貢献活動は、個々の生徒が必ず役割を持つことで、販売活動に向けて自ら考え、工夫し、解決する力を身につけることができます。しかし、活動が伝統化すると仕事内容の伝播になりやすいため、常に子どもたちに思考させる環境づくりが必要です。