先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
オンデマンド配信の内容
現役教員による授業実践
「他国の経済事情を学ぶことを通して育む起業家精神
~中国ベンチャー企業から現在の日本が学ぶべきこと~」
春日部市立武里中学校 小谷 勇人 教諭
前任校の中国の青島日本人学校で行った中学3年公民的分野、経済単元の授業実践について紹介します。私は社会科や総合的な学習の時間における起業家教育の実践を10年近く積み上げてきました。そして、これまでの実践をよりグローバルな視点で行うために生み出したのがこの実践です。
経済のグローバル化が進む中で、日本企業にはどのような課題があり、どのように課題に立ち向かっていくべきかという視点を持った授業が必要であると考えています。そこで「これからの経済と社会」という節で、1時間目「経済成長と環境保全との両立を目指す日本の未来」、2時間目「他国と協調する貿易を目指す日本の未来」、3時間目は本実践の「他国に学ぶ日本経済の未来」、4時間目「日本国内の経済にとってより良い未来」という授業を行いました。
「他国に学ぶ日本経済の未来」の授業では、中国のデジタルイノベーションに関する最新の情報を生徒と共有し、意見を述べてもらいました。たとえば、一人の生徒からは、コロナ禍という逆境に臨機応変に対応し、無人化や遠隔化などの商品を開発してチャンスに変える中国のやり方は賢いといった意見が聞かれました。
授業のまとめとして、バタフライチャートを使って、現在の中国経済や企業の経営戦略を日本に導入した際のメリットとデメリットを考えました。事前準備として、現地の日系企業の方々に、日系企業から見た中国経済や企業についてのアンケートに回答していただきました。それを読み込んでから生徒がまとめたバタフライチャートでは、強いデメリットとして、「日本は安全性を大事にしすぎて、色々な開発をする機会を失ったと思う」という鋭い意見も出ました。
金融教育を頑張りたいと考える先生方がゼロから自分で教材をつくる必要はありません。すでに世の中にある教材をまずは活用し、自分なりの金融教育のイメージを持つことが大切です。そして、ゴールとして生徒をグローバルに活躍できる存在へと導いていくことが金融教育に求められていると考えています。金融教育の教材として、金融広報中央委員会と「私たち中学生で会社を作ろう」というものを作りました。こちらもご活用いただければ幸いです。