金融商品なんでも百科
(平成27・28年用)
金融商品の選び方・組合せ方
リスクを減らしリターンを安定させる方法
リスクの高い金融商品を購入する場合、そのリスクを減らしリターンを安定させる方法があります。それは資金を分散して投資すること、つまり分散投資です。分散投資の方法としては、複数の株式・複数の債券に分散するといった「金融商品の分散」、国内株式・国内債券および外国株式・外国債券に分散する「金融商品の国際分散」、円だけでなく米ドルやユーロなどに分散する「通貨の分散」、一時に資金を投入するのでなく時期をずらして投資していく「期間の分散」などが考えられます。分散投資により、リスクを減らしリターンを安定させることを考えていきましょう。
金融商品の分散
一定の資金を単一の株式に投資するのと、複数の株式に投資するのではリスクが異なります。単一の株式に投資してそれが値下がりすれば、投資資金全体が減ってしまいます。しかし、複数の株式に投資していれば、ある株式の株価が下がっても他の株式は上がるといったことがあり、リスクを減らすことができます。
また、株式と債券は景気変動により一般的に逆の値動きをします。すなわち好景気では株価が上昇し金利も上昇しますが、債券価格は下落します。逆に不景気になれば株価は下落し金利も低下しますが、それにつれて債券価格は上昇します。他にも変動要因があるので必ずしもこうなるとは限りませんが、株式と債券を組合わせて運用することは、それぞれの価格変動リスクをカバーするのに役立ちます。
したがって、一般には株式のほか、債券、預貯金など多様な金融商品をバランスよく保有することにより、1つの金融商品の急激な価格変動などの影響をストレートに受けることが避けられ、価格変動リスクを減らせます。
金融商品の国際分散
海外の金融商品に投資する場合には、国情が異なる複数の国へ分散投資することによりリスクを減らすことが可能です。ある国は経済が悪化してきても、他の国は経済が活況を呈しており株価が上昇しているとか、ある国の債券は他の国の債券より安全性が高い、といった状況もあり、こうした点に目を向けることがリスクを減らすことにつながります。
通貨の分散
自分が生活する国の通貨を基本としながら、複数の通貨に分散投資しておくことは、自国の通貨価値の下落に対するリスク分散になります。
期間の分散
期間の分散もリスクを減らす有効な方法です。定期的に同じ金額で同一の株式や投資信託を購入していくことを定額購入法(ドル・コスト平均法)といいます。これは価格が低いときに買付け数量が増え、価格が高いときに買付け数量が減ることで、平均単価を下げる効果があります。このため、価格が低くなっても投資からリターンを得られる場合もあります。例えば毎月1万円ずつ1年間積立投資をしたとしましょう。設例では、スタート時の価格は1口で10円。毎月1円ずつ下がり続け、9ヶ月目には1口で2円まで落ちてしまいました。その後3ケ月間は毎月1円ずつ上がり、12ケ月目には1口で5円まで回復したとします。毎月1万円の積立投資ですから12回で投下した金額は12万円です。
一方、1口価格が下がったことにより購入口数が増えたため、12回の投資で合計27,121口購入することができました。12ケ月目の価格(5円)はスタート時(10円)の半値ですが、資産額はこの時点で5円×27,121口=135,605円となり、投資額を上回っています。
投資金額 | 一口価額 |
購入口数 (一口未満切捨て) |
|
---|---|---|---|
1月目 | 10,000円 | 10円 | 1,000口 |
2月目 | 10,000円 | 9円 | 1,111口 |
3月目 | 10,000円 | 8円 | 1,250口 |
4月目 | 10,000円 | 7円 | 1,428口 |
5月目 | 10,000円 | 6円 | 1,666口 |
6月目 | 10,000円 | 5円 | 2,000口 |
7月目 | 10,000円 | 4円 | 2,500口 |
8月目 | 10,000円 | 3円 | 3,333口 |
9月目 | 10,000円 | 2円 | 5,000口 |
10月目 | 10,000円 | 3円 | 3,333口 |
11月目 | 10,000円 | 4円 | 2,500口 |
12月目 | 10,000円 | 5円 | 2,000口 |
合 計 | 120,000円 | 4.4円 | 27,121口 |
1年後の資産額 5円×27,121口=135,605円