やさしいデリバティブ
1 デリバティブってなんだろう?
1-2 身近なデリバティブ
デリバティブの知識の必要性
デリバティブという言葉は、ここ十数年のあいだに広く一般に知られることとなりました。
銀行、証券会社などの金融機関や事業会社は多様化する顧客ニーズへの対応や、自己のリスク管理・収益性改善などの目的で、積極的にデリバティブ取引を行っています。
個人の資産運用にも使える「デリバティブ」
金融機関や企業のみならず、私たち個人にもデリバティブが身近なものとなってきている点に、注目する必要があるでしょう。
今日では個人の資産運用ニーズに応えるべく、さまざまな形態でデリバティブを組み入れた、預金や債券などの個人向け金融商品がたくさん開発されています。
また、デリバティブそのものを個人でも取引することができるようになってきています。
今やデリバティブの知識は、私たち個人の資産運用に不可欠となってきていると言っても過言ではありません。
デリバティブ商品の例
商品の例 | 組み入れられたデリバティブ | |
---|---|---|
預貯金 ローン |
キャップ付ローン | 金利オプション |
債券 | 他社株転換社債(EB) | 株式オプション |
リバースフローター債 | 金利スワップ | |
デュアル・カレンシー債 | 為替先渡し(先物) | |
リバース・デュアル・カレンシー債 | 通貨スワップ | |
株式 | カバード・ワラント | 株式オプション |
商品 | 商品ファンド | 商品先物 |
デリバティブ そのものを 取引 |
日経平均先物 | - |
商品先物 | - | |
個別株オプション | - | |
株価指数オプション | - |
デリバティブは危険?
もしかすると、デリバティブ取引は、危険だというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
たしかに、投機的なデリバティブ取引に失敗して莫大な損失が発生し、会社がつぶれたという事件が、かつて大きく取り沙汰されたのは事実です。
うまく活用すればメリットに
デリバティブはいろいろな使い方ができますが、使い方を誤ると大きな損を被る危険もあります。その一方、デリバティブをうまく活用すれば、以下のようなメリットがあります。
- 価格変動によるリスクを低下させる
- 利益を追求しながらリスクを一定額に限定させる など
資産運用の自己責任が求められる時代には、目的に合った金融商品を自らの意志で選択することが求められます。
まとめ
デリバティブを用いた個人向け金融商品の開発も、今後一層進んでくると思われます。
デリバティブの基本的な仕組みについて正しい知識を得て、そのリスクの所在を認識することの必要性は、ますます高まっていくでしょう。
また、これらの知識は、自分の資産運用と直接の関わりが少ない場合でも、金融・経済についての理解を広げ、深めていくことに大いに役立つものと思われます。
デリバティブの知識を土台とし、賢く上手に資産運用に役立てたいものです。