やさしいデリバティブ
2 先物取引
2-3 先物取引によるスペキュレーション
価格が上下に変動するのを利用して、短期間で利益を追求することを、スペキュレーション取引といいます。
先物取引では、このスペキュレーションも活発に行われています。広く行われている方法が「反対売買」を用いた方法です。
反対売買とは
反対売買とは、当初約束した取引と反対の取引を行うことです。当初先物を買った場合、先物を売ることが反対売買に該当します。
先物取引の大きな特徴として、満期を待たずして途中で反対売買を行うことができます。
反対売買と「受渡決済」「差額(差金)決済」
受渡決済とは
受渡決済とは、約束の日に実際に対象商品と代金の受け渡しを行う決済方法です。
先物取引では、受け渡しを伴わずに、当初行った取引の反対の取引(反対売買)で決済できます。
この場合、買値と売値の差額の受け渡しで決済することになります。この決済方法を「差額決済(差金決済)」と呼びます。
差額(差金)決済とは
差額(差金)決済とは、取引所で行われる先物取引に設けられた特有の制度であり、買値と売値の差額だけを受け渡すことになります。
例えば、当初買った時には250円の先物価格が、300円に値上がりした場合、この時点で売れば50円の利益が得られます。
先物自体の売買で取引が完結しますので、商品と代金の受け渡しを行う必要はなくなります。
まとめ
- 差額決済での、反対売買ができる
- 証拠金のみで比較的容易に参加できる
- レバレッジ効果が効く
上記のような理由もあり、先物取引によるスペキュレーションは盛んに行われています。
ただし、リスクも大きく、失敗した場合の損失が甚大に膨らむことを理解しておかねばなりません。
また、無鉄砲に取引に参加して契約を履行できなくなる投資家がいては困るので、先物取引やオプション取引(コールもプットも売りの場合)においては、取引に参加しうる最低限の資金の担保として、証拠金の払い込みが求められます。
このように、証拠金制度は、取引の安全のための担保として設けられています。