2016年度 先生のための金融教育セミナー
【高等学校・大学向け】
1.来賓挨拶
文部科学省初等中等教育局
梶山 正司 主任視学官
金融は現代社会を生きる私たちの生活にとって不可欠なものです。金融という言葉を意識しなくても、日々限りあるお金を管理しながら、どのような消費をするかについて意思決定をしたり、貯蓄をしたり、事故、災害、病気などに備えて保険に加入しています。子どもたちが自立した経済主体となっていく上で、金融教育を行っていくことは非常に有意義であると考えています。一方、学校で子どもたちが学ぶ時間には限りがあります。このため、単なる金融知識だけを学ぶのではないということに留意していただき、子どもたちが社会に出たときに役立つ内容を限られた時間の中で効果的に学んでいくことが求められています。
現行の学習指導要領、例えば高等学校においては、公民科の授業で金融制度や資金の流れの変化について学習するということになっています。その中で、中央銀行の役割、金融政策の目的と手段、キャッシュレス社会の進行、金融商品の多様化などについて学んでいます。また家庭科では、生涯を見通した生活における経済の管理や計画について学んでいます。家計における収支バランスや計画性、不測の事態に備えた貯蓄や保険などの資金計画についても関心を持たせるという授業が行われています。このように、各学校において地域の実情に応じて、金融機関の方々にも協力を仰ぎながら、様々な形で金融教育を実施しています。
文部科学省においては、現在、中央教育審議会において、次期学習指導要領の改訂に向けた議論を行っています。8月初に審議のまとめ(素案)を示しました。その中では、よりよい学校教育を通じて、よりよい社会をつくるという目標を学校と社会が共有して、連携、協力しながら、新しい時代に求められる資質や能力を子どもたちに育んでいくことや、社会に開かれた教育課程の重要性が指摘されています。
新しく高等学校に設置される公共や家庭科において、金融の重要性に関してもご審議いただいています。本日のプログラムにおいても、中教審の議論の方向性に沿った議題を設定していただいており、学習指導要領の改訂を視野に入れた議論を深めていただくことを期待しています。
本セミナーが皆様にとって実り多いものとなりますとともに、お集まりの皆様のますますのご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。