おかねのシンポジウム2004
『地元発信。元気な未来はみんなでつくる』
パネルディスカッション
質疑応答
藤田 ここで若干お許しを頂いておりまして、今日のパネリストの方に、会場に直接ご質問をしたいという方がありましたら、一、二お受けしたいと思います。どなたか手を挙げて頂きたいと思います。
質問者 福井総裁にご質問申し上げます。日銀総裁の立場として、今の都市銀行とか市中銀行の体質の悪さに対して提言をお願いします。日銀総裁が言われれば、都市銀行だとかそういう人ももっと聞くんじゃないかと思いますので。
福井 高度成長時代の日本にとって、戦後立派に築き上げてきた経済モデルを、新しい時代に沿うように自ら作り上げたシステムを壊しながら作っていくと言う、大変苦しい過程を今歩んでいるように思います。
われわれのような世代は戦後戦争に負けて、いきなり経済を作り直す過程に入った。戦後の苦しみというのは、壊された後の何もないところから始まりましたけれども、われわれの努力は新しく作り始めるところから入った。
ところが今は、われわれ自らが作り上げたものを自ら壊しながら、さらに新しいものを作り上げるという、戦後の苦労よりももっと複雑な苦労を味わいながらみんなで努力している。
銀行の不良債権問題と言うのも経済の構造が変化する過程で銀行からお金を借りて投資をしたその成果が、うまく成果を生まなくなった。銀行の方からみれば、貸したお金が生きるはずだったのが実は死んでいた、この問題を処理しながら、そして新しい過程に入らなければいけない。
ということは、苦しんでいるのは銀行だけではない。企業もそうですし、経済を構成しているわれわれ消費者一人一人もそうだということがいえると思います。
したがって、一人一人の行動をとってみれば、お互いまずいことがいっぱいある、非難しようと思えば限りなくありますけれども、しかしやっぱりここは、みんなで負担すべきものは負担し、新しい前進に向かって一刻でも早く踏み出さねば、この厳しい国際競争に打ち勝ってさらに先頭を進むって言うことが難しくなるので、そういう努力を過去十何年やってきたと思います。
今はその成果が少し出始めてもっと希望を持って前進できる時代になったと思います。新しい時代の特徴は従来のように国に依存して何かをやっていける時代ではない。自分が責任を持ってやっていかなければいけない時代になったということです。企業も金融機関もそうです。
今おっしゃいました大きな金融機関もまったくその通りであって自己責任原則というものを時の経過とともにより強く自覚しながら、自分たちの背負っているビジネスモデルを急速に今変えようとしている。不良債権問題の処理もそうですし、最近のメガバンクの合併再編という動きも、将来に向かって大きく脱皮していく一つのプロセスでございます。
その中に人間の喜びも悲しみもともにある。私の願いはともに悲しみがあるんであって、お互いをあまり非難し合うということによって他人だけでなくて、結局自分も傷つくということのないように、極力建設的に前向きに進んで行くべき大切な時期だという風に思います。
日本銀行のやり方も、以前の高度成長のやり方が通用しなくなって、その移行過程において決して良いことばかりではなかった、もういっぱい反省しながら、しかし今の困難な問題を克服して前進するために、全力を挙げてやっています。
色々とわれわれのやり方のなお適切でないところがあれば厳しくおっしゃって頂きたい。われわれはそれを受けながら仕事をやっていくのが使命であって、われわれは必死になってやっています。それを確約したいと思います。
メガバンクの人たちも決して責任を放棄したり、自分たち過去の過ちを否定しようという人はいないと信じております。そこは是非信じて頂きたいと思います。
谷岡アナ それ以外のご出演の方々にご質問があればということなんですが。
質問者 大平光代さんに質問したいのですが、大平さんが助役に就任されたときに、地域を盛り上げるために、職員に対して、こうありなさいというような、行動の目標と言いますか、心構えといいますか、そういったお言葉をかけられたのではないかと思いますが、そのお言葉を伺えればと思います。
大平 就任して色々とお話しする機会はあったんですけれども、私は、なるべく市民の方と同じ目線に立って下さいという、そういうお願いはあるんですけれども、具体的にこうすればいい、ああすればいいっていうことはなく、むしろ私も一緒に学ばして頂くという姿勢で入って参りました。
例えば、勉強会とかありましたら、こうした問題がおきたとき、どうしましょうかね、何か良い意見はありませんかね、と私が尋ねる方なんですね。大変頼りない助役だと思いますけれども、お蔭様で、皆さん和気藹藹とやらせていただいています。
質問者 どうもありがとうございます。
藤田 総裁と大平さんには番外発言、あるいは、特別講演までして頂きました。どうも有り難うございました。