おかねのシンポジウム2004
『地元発信。元気な未来はみんなでつくる』
パネルディスカッション
元気な未来をつくるためのお金との付き合い方
藤田 随分、多角的な議論を頂いて参りました。地元発信、元気な未来はみんなでつくるというテーマでご発言頂いて来ましたが、最後に今日この点を最も強調したかったんだ、あるいは、司会が拙劣だったためにこの点を言い残した、何でもよろしいので、大平さん、堀田さん、河合さん、福井さんの順でまとめのメッセージを残して頂きたいのですが、お願いします。
大平 折角ですから最後にはお金のことをお話しします。そうでないと何しに来たんやと言われかねませんから。やっぱり子どもに対するお金の教育というのは、一生懸命しないといけないと思うんですね。
たとえば私は弁護士時代に破産管財人をしていましたけれども、安易にカードが入手できて、そしてカードで支払いをしていますと自分が実際それだけのお金がないにも関わらず買い物をしてしまう。あるいは、安易にキャッシングしてしまう。
たとえば年利29%なんていう金利を払う、それがどれだけ大きなことか。そういうことを続けていれば、いつか破綻すると言うことを、そういう教育を受けていなければ分りません。そして、破産者になってお金がなくて、そういう人達にも貸すヤミ金っていうのもあるんですね。
そうなると、2回目の破産で免責は受けられないでしょうから、どん底の生活になってしまいます。場合によったら、命を絶ってしまう、そういう不幸なケースだってあるんですね。ですから、そういうことに陥らないためには、子どもの頃から一生懸命教育をする必要があると思うんです。
それとやっぱり、お金と言うのは幸せを追求するための手段であって目的であってはならないと思います。いつのまにか、手段であるというのを忘れて、お金を貯めることだけが目的になってしまいます。
そうすると、先ほど堀田さんがおっしゃったように一生懸命貯めて、そして自分のためには何も使えなかったという、それは本当に人生損をしたような想いだと思うんですね。
ですから、生きたお金を使う、生きている間に自分が心豊かになるために是非ともお金を使って頂きたい。お金は持って死ねない、ということを申し上げたいと思います。有難うございました。
堀田 私もお金のことを話します。お金の生きた使い方、どう使えば、一番本当に自分が満足できるか。これは寄付することですね。私もさわやか福祉財団には、多い年では2千万円ほど寄付しました。これは過去2回ほどあります。少ない年で3百万円くらい。これはまあ自分がやっていることですから、寄付をしたというのか、自分で使ったというのかよく分りませんが。
だからと言って、しめたと思って、僕のところに寄付を申し出ないで下さい。国内では他に災害のときに寄付するだけですから。でも寄付ってすごく気持ちがいいけれども辛いんですよね。新潟豪雨のときも10万出そうか。10万は痛いぞ。5万にしよう、5万も痛いぞなんて思いながら出しました。
本当は行って色々したいんだけれども、それができないから、寄付することによって金銭的に協力する。あとは国外ですよね。たとえば、北朝鮮の子どもたちが飢えていますよね。子どもたちには罪がない訳ですから、子どもが飢えてはかわいそうです。アフガニスタンの子どもたちが学校にも行けない。本代もない。
わずかですが寄付するとどうなるか、すごく身近に感じられるんですね。アフガンの子どもたちが自分のことのように感じられる。また、北朝鮮の子どもたちが幸せになる方法はないだろうか。6者協議を見ていても自分のことのように感じられるんですよね。
ですから、出すときは辛いんですけれども、自分が広がるといいますか、そういう使い方が最高の使い方だなと思っていますね。
河合 お金のことというのは本当に難しいんです。今、日本は頑張ってお金持ちになったんですが、下手をすると、お金持ちになったために不幸になっている人が多いような気がします。
それは、子どもを育てるときに、なんでも美味しいものをやった方がいい、何かやった方が良いっていうんで、かえって子どもの躾なんかできなくなっている。われわれのときだったら、物がないために兄弟で分け与えるとか、ちょっとお父さんが何かくれたというだけで、ああ有難うと。
今、お父さんがちょっとぐらい物をやっても子どもは喜ばない。極端な場合、誕生日のご馳走がなくなってしまう。いつもみんな美味しいもの食べているから。お金があるために知らぬまに不幸になっている人がいるんじゃないかと思うんです。幸福になりたい人は、そんなお金をどんどんさわやか財団に寄付してですね、そうすると堀田先生がみんなの苦労をどんどん引き受けてやって下さいますから。これはまあ冗談ですが。
お金プラス心も使おうじゃないか。美味しい物ばっかり食べさせているということが本当に子どもに幸福なんだろうか。あるいは、もっとひどい人は、子どもに何にもできないから小遣いだけぱっとやっている。そして、子どもに何かしてやったように思うのは子どもを悪くする一番良い方法ですよ。
自分を不幸にするためにお金を使っているような人があまり多いのでそこをもうちょっと考えたらどうだろうと思っています。
藤田 福井さん、まとめの一言をお願いします。
福井 いや、お金の話、3人の方々からすべて語って頂いたので本当に有難うございました、と言えば終わりでございますが、大事な話ですのでもう一回だけ言わせて頂きます。
お金っていうのは、自分の夢の実現のために、是非自分でいきいきと使って欲しい。これは第1章です。第2章は、残りのお金はしっかり他人に使ってもらいたい。自分は自己実現のためにしっかり使うわけですから、残りのお金は他人にしっかり使ってもらいたい。これは寄付もいいけども、寄付だけって言うのはちょっと困る。
世の中経済的価値を生むために懸命になって努力している人がたくさんいますので、ここにもお金を投じてもらいたい。投資と寄付とをうまく使い分けて世の中を一層良くする、どういう投資をすればいいか。ここにやっぱり金銭的知識を益々積み立てていってもらいたい。われわれもいくらでも知識は差し上げます。この組合せでございます。
しかし、まだあと二つ申し上げなければならないことがあります。われわれが自分でどうお金を使おうか、あるいは世間で建設的な仕事をする人にどうやって使ってもらうか。
その前に国とか、大平さんいらっしゃいますけれども、地方公共団体、これはわれわれから強制的に持って行かれるお金を納得して提供しているのです。税金というかたちで。これは、国とか地方公共団体、大阪市も含め、われわれのためにお金を使って下さるということで、われわれは強制的に持って行かれるお金を納得している、っていうことです。
ただ、申し上げにくいんですけども、国や地方公共団体はお金の使い方が本当に下手だと思います。やっぱりみんなの夢の実現のためにピシッと使っているかどうかっていうのは、税金を払ったわれわれ一人一人がもっと強く監視しなければいけない。tax payer’s意識、これは大平さんに対してもかなり敵対的な関係でにらみつけなきゃいけない、とこういうことだと思います。
そして最後にもう一つは河合さんがおっしゃった通り、可愛いお坊ちゃん、お嬢ちゃんにあんまりお金を与えすぎないように、これが非常に大事なことだと思います。
藤田 有難うございました。最近まで日本では、お金に関する教育、あるいはしつけというと、勤倹貯蓄、もっぱら節約を重ねて貯めるんだ、というぐらいが納まりどころでありました。しかし、そうした時代は明らかに去ったと思います。
お話頂きましたように、お金をいきいきと使うことこそ、子ども達に、多くの社会の人達に身に付けてもらう、これが金融教育のポイントである、ということが段々分かってまいりました。それが元気な未来を作り、社会を良くする元であるということが分かってまいりました。
これからは、お金の知識を増し加えることについて、もう少しわれわれ積極的でありたいと思います。司会は十分なことができませんでしたが、にもかかわらず、パネリストの皆さん、ご協力有難うございました。そして、会場の皆さん、ご協力有難うございました。
谷岡アナ 今日ご出演頂きました皆様に、もういちど大きな拍手をお願いします。