金融経済教育を考えるつどい
第2部:ディスカッション
自己責任を持って、私が主役。新しい経済と社会作りが始まっている。
だから小さい時からの金融教育が必要だ!
金融教育はアメリカ型、イギリス型?
野中 ここで海外の金融教育をご紹介したいと思います。
アメリカでは、投資教育と訳されていますが、1974年にエリサ法で、企業の年金制度がこのままではもたないことから、経営者は従業員一人ひとりに年金のことがわかるように教育をしなければならないと法律で定めました。それを受けて94年に幼稚園でも小学校でも、アメリカ人はすべからく経済教育を受ける権利と義務があると教育法で制定し、方法論はNPOに任せました。
一方イギリスは、サッチャー首相が教育法を制定して、シチズン・シップ-市民としての基礎的な人間力というような意味ですが、その一番重要なパワーになる経済・金融教育の知識を中学校時代に徹底的にやるという形をとり、全国津々浦々同じ形で経済・金融教育を行っています。
総裁は今、日本の場合、何が一番重要だとお考えですか。
福井 自分で自分の人生を選択すれば、そこでのお金の使い方は必ず健全な姿に行き着くと思います。しかしこの子はこうでなければならないと親が決め、本人までもがどこどこの大学を出て、有名企業に行かなければならないと思っている時は、自分の行動について選択がない。こういう人にお金を使わせるときっと不健全な使い方をすると思いますね。
まず人生の選択肢は本人に与える。その人の好奇心で物事を決める。その時、本当にお金の大事さ、怖さがわかるわけで、その基本のところを整えながらアメリカ型かイギリス型か、状況に応じて教育システムを作ればよいと思います。
母親がいつまでも子どもを大事に思う気持ちは理解できますが、有名幼稚園から有名大学、有名企業へ、というイメージを壊すことが一番大事だと思います。
細野 ブランド意識は長い時間を掛けて作られたものだし、普通の日本の子どもたちの意識だと大学入試に関係ないものは勉強しません。だから投資や経済に関することを入試の必須科目にしないとダメなのかもしれないですね。
椎名 その通りですよ。でもね、教えるための先生を養成するには時間が掛かる。そのためには当面即戦力として可能な社会人がお手伝いをする必要があると思います。
堀田 いいお話がたくさん出ているのですが、「自分の人生は自分で責任を持って、その上で主人公は私」という根本ができていないと、どう上手に教えるかという技術論だけあってもだめでしょう。方式としてはNPOがやっているアメリカ型がいいと思いますね。
野中 私は入試科目にというのはちょっと(笑)。社会を支える企業の資金調達のメカニズムというような基礎的な社会の仕組みを俯瞰できるような、経済教育が欲しいですね。