金融経済教育を考えるつどい
(1)「いきいきした経済社会を築くために」-お金の番人からのメッセージ
金融経済教育の目指すものは自己責任意識をもつ自立した社会人の育成
それではこの重要な課題にどう取り組んだらいいのでしょうか。
そもそも金融経済教育は何を目指すのかということを考えてみますと、働くことの苦しさや楽しさ、そこで知恵を働かせる嬉しさを学び、稼いだお金の中から計画を立てて貯蓄し、その貯蓄を上手に運用することを学び、お金を借りる意味や知識とともにそのリスクを学ぶ。
そしていきいきとお金を使う喜びを学ぶことを通じて、厳しい選択眼としっかりした自己責任意識をもつ自立した社会人を増やしていくことではないかと思います。
そしてそれが、わが国における市場機能を強化し、ひいては豊かで活力ある将来の日本のかたちが一人一人の選択の結果として生まれ出てくるということです。
もちろん、そのような最終ゴールまでの道程は遥かに遠いものです。したがって当面どんなところから手を付けていくかということになりますが、私は次の3点が大切だと思います。
ひとつは、正確で信頼のおける情報がわかりやすく入手しやすい方法で提供されることです。
今はいろいろな金融情報や金融商品情報が溢れるように提供されるようになっていますが、消費者の立場からは、何といっても正確な情報が求められています。特にリスク商品に関してはリターンの大きさに目を奪われ過ぎないようリスクの大きさについてもきちっと紹介されるようにしなければなりません。
二つ目は「鉄は熱いうちに打て」といわれるように児童・生徒のうちから金融経済に関する教育を家庭、学校でしっかり教え込むこと、そのために、児童・生徒および学生等の成長段階に応じて教育内容を体系化し、それを効率的に進められるような仕組みや教材等を整備することです。
そして第三には、そうした教育指導に関係する両親、学校の先生方、様々な民間の団体や組織、ならびに行政機関がお互いに力を合わせて取り組んでいくことです。
このような努力が徐々に結実する過程で、わが国においても、ゴールキーパーが大声を張り上げなくても活発に行動する消費者やチャレンジングな人が増え、いきいきとした経済社会が実現するのではないか、そんな期待を抱きながら私のお話は終わりとさせていただきます。