贈与を身近に
─世代を超えて財産を有効活用する─
(Q3 贈与の課税方式)
Q3. 贈与の課税方式にはどのような種類がありますか
A3. 「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類です
(暦年課税)
贈与の課税方式には2種類あり【図表3】、その1つが、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に応じて課税される「暦年課税」です。
暦年課税 (暦年贈与) |
相続時精算課税 | |
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概要 |
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贈与者 受贈者 |
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控除 |
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税率等 |
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課税状況 ※ |
課税件数:36.4万件 贈与財産額:1.4兆円 納付税額:2,188億円 |
課税件数:4.0万件 贈与財産額:0.7兆円 納付税額:599億円 |
2024年 1月からの 変更点 |
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- 課税状況の件数は令和2年分「国税庁統計年報」による
- (出所)
- 監修者作成
贈与税には110万円の基礎控除(無条件に差し引くことができる金額)があり、毎年110万円までなら贈与税はかからず、税務署への申告も必要ありません。
このように非課税枠の仕組みを利用して、贈与を行うことを「暦年贈与」といいます。
贈与税は贈与を受けた人が納めるので、例えば祖父が3人の孫に110万円ずつ贈与すると計330万円になりますが、どの孫も贈与税の対象にはなりません。
1人の孫が祖父から110万円、祖母から110万円を受け取ると、合計220万円になるので贈与税の対象になります。
(相続時精算課税)
一方、もう1つの「相続時精算課税」では、累計2,500万円までの贈与が非課税になります。
これを使えば、まとまった額を贈与税の課税をされずに渡すことができます。
ただし、贈与者が亡くなると、その贈与をした額も相続財産に加えて相続税が課されます。そのため、相続財産の先渡しと捉えた方がよいでしょう。
(相続時精算課税の変更点)
これまで、相続時精算課税を選択すると暦年贈与は利用できないうえに、利用者の年齢が限定されており、少額の贈与でも申告等が必要といったことから、相続時精算課税の利用は多くありませんでした。
しかし、税制改正により、2024年1月1日から相続時精算課税に年110万円の基礎控除が追加になります。
2,500万円までまとめて贈与できて、さらに毎年110万円まで非課税で贈与できるようになるため、今後は相続時精算課税の活用が増えていくと推測されます。
この記事は2023年3月時点の情報に基づいています。実際に贈与を行う際は税理士など専門家の助言を受けることをおすすめします。