贈与を身近に
─世代を超えて財産を有効活用する─
(Q1 相続時のトラブル回避)
Q1. 相続トラブルは、財産の多い家庭にだけ起きるのでしょうか
A1. 財産の額に関係なくもめることがあるので、生前から備えておくことが大切です
亡くなった人(被相続人)の財産を引き継ぐときに納める相続税。
どのくらいの人が対象になるかご存じでしょうか。
「令和3年分相続税の申告事績の概要(国税庁)」によれば、被相続人のうち相続税の申告が必要な人の割合は9.3%です。
相続税が発生するケースは、それほど多くないといえます。
しかし、相続税がかからなくても、被相続人の財産を引き継ぐ「相続」は必ず発生します。
そして、遺産分割のトラブルは財産の大小に関わらず起きています。
実際、令和3年中に裁判所が扱った認容・調停が成立した遺産分割事件のうち、約3分の1が遺産総額1,000万円以下のものです【図表1】。
金額 | 比率 |
---|---|
1,000万円以下 | 33.0% |
5,000万円以下 | 43.6% |
1億円以下 | 12.4% |
5億円以下 | 7.0% |
5億円超 | 0.4% |
不明 | 3.5% |
- (出所)
- 最高裁判所「司法統計年報(家事編)令和3年」
相続時のトラブルを避けるには、法的に有効な遺言書を作成し、被相続人の意思を明確にすることが大切です。
さらに、元気なうちに、財産をどう分けるか、その理由はなにかを、相続人となる親族に話しておくとよいでしょう。
これに加えて、一部の財産を生前贈与することで、円滑に引継ぎをしたいものです。
この記事は2023年3月時点の情報に基づいています。実際に贈与を行う際は税理士など専門家の助言を受けることをおすすめします。