家計の金融行動に関する世論調査
家計の金融資産に関する世論調査[二人以上世帯](平成15年まで)
貯蓄と消費に関する世論調査 平成10年調査結果
要旨
I 貯蓄の状況
本年の1世帯当たり平均貯蓄保有額は1,309万円と、前年(1,347万円)に比べ減少した。種類別にみると、株式など有価証券が大きく減少した。貯蓄の目的としては、引き続き「病気・災害への備え」、「老後の生活資金」、「こどもの教育資金」が上位を占めている。
II 金融の現状に対する認識と行動
(安全性と収益性)
貯蓄商品を選択する際の基準としては、「収益性」の減少が続く中、「安全性」が平成7年以降4年連続で増加している。こうした中、貯蓄の安全性を高める行動については、これまでに実際に行動した世帯が約3割、先行き行動したいと考える世帯は約6割に達している。
また、預金保険制度の存在を知っている世帯は、前年よりも大幅に増え、全体の3分の2を占めるようになったほか、安全性と表裏の関係にある自己責任意識についても、前年と比べ「外貨預金」や「新しいタイプの金融商品」などを中心に、総じて高まっている。さらに、金融機関に対する要望についても、「金融機関の経営内容の開示」等に対する要望が高まりつつある。
(金融システム問題)
当面の金融情勢に対する評価については、「現状と変わらない」が約半分、「さらに悪化する」が約4割を占めている。一方、自らの取引先金融機関に対しては、「破綻の不安はない」との受け止め方が多い。また、経営内容に不安をもつ世帯ほど、経営内容を確認したいとの希望は強いものの、実際に確認した世帯は少なくなる傾向があり、確認経験があるのは全体でみても1割に満たない。
(新しい金融の流れ)
ビッグバンの認知度は前年比大幅に上昇し、過半数に達した。ビッグバンを知っている世帯では、ビッグバンによって金融商品や金融機関サービスの多様化が進むとする世帯が増えているが、自らの生活への影響については、「金融機関の経営内容に格差が生じるなど負担がかかる」と受け止める世帯が、「日本経済が活性化するなど好影響を与える」とする世帯をやや上回っている。
III 消費と借入
手取り収入、消費支出とも1年前に比べ減少した。また、借入金については、借入金のない世帯などを含めた全世帯の平均借入残高が507万円と前年をやや上回っている。
IV 生活の設計
生活設計を立てている世帯は、ここ1~2年間で1割以上減少した。また、生活設計の基礎となる家計簿の記帳率も減少を続けている。
老後の生活を心配している世帯は、8割以上に増加している。その理由としては、「年金や保険が十分でない」、「再就職による収入が見込めない」といった回答が増加している。このうち、年金については、将来の年金改革などを展望し、「年金だけではゆとりがない」が約7割にも達し、その不足分は就労収入や貯蓄でまかなうといった自助努力の必要を考える世帯が増えている。