先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
ハイブリッドセミナーの内容
講義
『これであなたもひとり立ち』ワーク12(人生にかかるお金、資産形成の視点)を中心に
東京都立国際高等学校 伊東 純子 主任教諭
金融広報中央委員会発行の「これであなたもひとり立ち」のワーク12を活用した授業を紹介させていただきます。
社会の変化が激しく未来の予測が困難な中、生徒の金融リテラシーを高めるため、この授業では、家計管理やライフプランニングの重要性、基本的な金融商品の特徴などの知識、資産形成の視点を身につけ、幅広い考え方を学ぶきっかけになることを狙いとしています。そして、「教えられた」のではなく「自分で考えて答えを導き出した」と認識させるために、「一人で考え、話し合い、再び一人で考える」という学びの手法をとっています。
ワーク12(人生にかかるお金、資産形成の視点)で学ぶ内容は、下記のとおりです。
- 人生にかかるお金はいくら?
- 人生で得られるお金は?
- 人生全体で『支出<収入』にするには?
- お金を『ためたい』とき、『増やしたい』とき
- 金融商品の選び方、資産形成の視点
私はこのワークに1コマ45分で取り組むこととしました。金融教育においては、経済的自立の基盤は働いて収入を得ることである点を生徒にしっかりと伝えるべきだと考えています。社会人となり、お金に関する判断を自分で行うようになったら、まずはためる仕組みを作ることが重要と強調しました。そして、お金を増やすことを考えた時には、低金利が続く預貯金だけでなく、もう少し積極的な行動、自分に可能な範囲内でリスクを受け入れる判断も求められることを説明しました。
ワーク12の最後では、金融商品の特徴を知り、将来のためにどのような資産形成をしていくかを考え、グループでの意見交換を経て、価値観を再構築する活動を行いました。金融商品の基本的な知識の習得には、外部の知見を活用し、金融の専門家が作成した動画や教材を使用しました。高校生が身につけるべき資産形成の視点とは、長い人生における経済の計画性、すなわち長期にわたる運用が前提と考えます。金融商品を選ぶ際に必要な視点や、金融商品のリスクとリターンについても説明を加えました。
投資という言葉に抵抗感や漠然とした不安を持つ生徒もいます。部活や勉強、好きなことに取り組むなど、今やっていることも未来の自分のための投資であること、自分でお金を稼ぐようになるとそこに金融投資も加わるのだというイメージを持つとよいのではと言い添えています。