先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
ハイブリッドセミナーの内容
対談
金融教育7%問題の未来
日本金融教育推進協会 代表理事 横川 楓 氏
金融広報中央委員会 企画役 河合 真児
やさしいお金の専門家・金融教育活動家として、若い世代に向けた金融教育に取り組んでいる日本金融教育推進協会代表理事の横川楓氏にお話を伺いました。
「金融教育7%問題」とは、当委員会が18歳以上の個人を対象に行った2022年の金融リテラシー調査で、「これまでに学校等で金融教育を受けたことがある」と回答した人の割合がわずか7%であったことを指しています。横川氏は、その要因を次のように分析されました。
「金融教育を受けたことがないという人の中にも、実はクレジットカードやクーリング・オフ制度について教わった記憶がある人はかなりいて、ただそれが金融教育として認識されていないのではないかと考えています。今の金融教育が線ではなく点になってしまっていることが、7%という数字に大きく関係しているのではないかと思います」
さらに、記憶に残る金融教育を行うための知識の伝え方について、次のように話されました。
「限られた授業時間の中でも、話に起承転結をもたせ、体系的に知識をステップアップさせていくような話の導線作りを意識しています。また、受け手の年代に言葉の目線を合わせることも大切です。例えば中学生に収入と支出の話をするならお小遣い、高校生ならアルバイトと、年代によって事例を変えて伝えています」
また、教科書に少し難しい単語があれば、当委員会の「知るぽると」ホームページなどの情報サイトを辞書のように使って先生自身で言葉を咀嚼してから説明する、時間が足りず省かざるを得ないところは、「知るぽると」や金融庁のホームページで無償提供している教材を印刷して配ることも有効という実践的なアドバイスをいただきました。
最後に、金融の知識に自信がないという先生方に向けて、次のようなお話がありました。
「専門知識がないということはメリットでもあると思います。自分も一緒に学んで理解し、理解した言葉を使って等身大の目線で話すことができるからです。相手の目線に立って話すということはとても大切です。生徒と同じ目線に立てるということを大切にしながら、あまり難しく考えずに伝えていただければよいと思います」