先生のための金融教育セミナー
2022年度 先生のための金融教育セミナー
ハイブリッドセミナーの内容
対談
学校で金融教育は必要か
経済ジャーナリスト 後藤 達也 氏
金融広報中央委員会 主任企画役 山田 桂志
日本経済新聞の記者を経て経済ジャーナリストとして活躍する後藤達也氏にお話を伺いました。
「ここ数年、金融教育への注目度は飛躍的に高まっています。投資に対するネガティブなイメージも若い世代を中心に薄れつつあります。一方で、何から始めたらいいのかわからないという方もたくさんいますので、そういう部分での橋渡しができればと思っています。今年は急激な円安進行のニュースが国民の関心を呼びました。為替の変動が自身の生活に直接影響することを実感する機会になったと思います。高校の家庭科でも資産形成を扱うようになった今こそ、行政、教育関係者、金融業界が力を合わせて金融教育に取り組むことが重要だと感じています」
次に、後藤氏が行っている全国の中学・高校や大学での金融教育の特別授業の取り組みについて、伺いました。
「こちらの教えたいことが必ずしも生徒・学生にきちんと伝わるとは限りません。新聞の記事を書くときには、読者の目線に立つことが求められます。金融について教える際も生徒・学生の目線に立つことが必要で、私が教壇に立つ際は反応を見ながら、こういう伝え方をすると関心を持ってもらえるかな、この説明は少し難しすぎたかな、と考えます。例えば、円安についての説明も、iPhoneの値上げの話など身近な話題から入ったほうが伝わりやすく、生徒も授業についてきてくれることが多いです」
また、投資詐欺や金融トラブルに巻き込まれないためのポイントについて、伺いました。
「具体的な事例を紹介することは大事だと思います。元本保証で高利回りという金融商品は理屈上、ありえません。騙す側は日々その手法を変えてきますが、そうしたおいしい話に気持ちを揺さぶられないように注意しないといけない、耳障りのいい話が来たときにはまず警戒心を持ったほうがよいということはよく伝えるようにしています」
最後に、金融教育はハードルが高いと感じている先生方に向けてのアドバイスをお願いしました。
「金融教育といっても、高校でも扱うのは生活設計やクレジットカードの注意点、投資詐欺対策など、資産運用の前提となる基本的な知識が中心だと思います。金融になじみのない先生方でもすぐに吸収できると思います。ぜひ好奇心をもって学び、それを自然体で伝えていただければと思います」