平成14年度「全国金銭教育協議会」
自立能力を育て、変化に適応
では、自立能力と叫べば自立能力が育つかというと、そうではありません。自立するために必要な要素を分析的にとらえて、その能力をこつこつ育てていく以外にないのです。その自立能力を育てるために金銭教育は重要な役割を果たします。
「指針」には、自己責任が従来に増して強く求められるようになった、とあります。例えば、携帯電話のワン切りが最近話題になっていますが、このワン切りに対して政府が法規制をしても、その裏をかいくぐって新手が次々と出てきます。そうすると、自分で責任を持つ以外どうしようもないのです。
政府が自己責任と決めたわけではなく、時代がそうなったからなのです。そのことをはっきりとらえて、責任を持てる能力を育てなければいけないのです。
金融面についてみますと、金融ビッグバン以前は、どの銀行に預金しても利子は同じくらいで選択の幅も狭く、自分で判断する必要はありませんでした。
しかし、平成8年にいわゆる金融ビッグバンが始まって、新しい金融取引や商品が次々と開発され、金融機関の破綻も増加してきました。金融商品がいろいろ出てきて選択肢が多くなると、何をどう利用すればいいか、ということが課題となります。
今の金融環境は、貨幣を直接やりとりするのではなく、クレジットカードやインターネット取引へと、現金は使わないという形で、質的に変化しつつあるのではないでしょうか。
このような金融環境の変化を正確に見通して、それに適応していくことは、生活をさらに豊かにする能力をつくるチャンスでもあると思います。
自分の選択が間違っていたらリスクを負わなくてはいけませんが、逆にメリットを享受する能力を持つことが必要だともいえるのです。