家計の金融行動に関する世論調査
家計の金融資産に関する世論調査[二人以上世帯](平成15年まで)
平成9年調査結果(貯蓄と消費に関する世論調査)
I 貯蓄の状況
1. 貯蓄保有額
貯蓄商品には、銀行等が扱う預貯金のほか、信託、株・債券・投信などの有価証券、掛け捨て型を除く保険などがある。
これらの貯蓄商品の保有額について尋ねたところ、本年の貯蓄保有世帯(3,847世帯)の1世帯当たり平均貯蓄保有額は、1,347万円と前年比小幅の増加となった。また、貯蓄保有世帯の中央値(注)は、800万円と前年同額となっている。
(注)中央値とは、貯蓄保有額の少ない世帯から多い世帯に並べたときに中位に位置する世帯の貯蓄保有額のこと。例えば、全世帯が9世帯ならば、少ない順から5番目の世帯の貯蓄保有額が中央値となる。平均的な家計像をとらえるには、平均値が貯蓄分布のうち高額保有層に引きずられて実感よりも高めになるため、より実感に近い中央値を併せて用いる。
平成2年 | 平成3年 | 平成4年 | 平成5年 | 平成6年 | 平成7年 | 平成8年 | 平成9年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均値 | 1,181 | 1,165 | 1,259 | 1,300 | 1,300 | 1,287 | 1,301 | 1,347 |
中央値 | 700 | 685 | 725 | 732 | 750 | 763 | 800 | 800 |
2. 貯蓄の種類別保有状況
貯蓄保有額の種類別構成比をみると、「預貯金」(56.1%)が引き続き大きく、次いで「生命保険・簡易保険」(21.0%)、「有価証券」(10.3%)の順となっている。その増減状況をみると、前年と比較して株式を中心に有価証券が減少する一方、預貯金と保険・年金が増加している。
ここ数年の種類別の構成比についてとらえると、預貯金は平成6年以降4年続けてウエイトを高めているほか、保険が3年連続で上昇している。また、個人年金についても増加傾向がみられる。
なお、今後1年間で最も重視する貯蓄の種類としては、「預貯金」と回答した世帯が7割強となっている。
平成4年 | 平成5年 | 平成6年 | 平成7年 | 平成8年 | 平成9年(実額) | |
---|---|---|---|---|---|---|
預貯金 | 54.7 | 50.2 | 51.6 | 53.8 | 55.0 | 56.1 (755) |
貸付・金銭信託 | 6.0 | 6.4 | 5.9 | 5.4 | 4.2 | 3.8 (51) |
生命・簡易保険 | 18.2 | 19.8 | 19.8 | 20.0 | 20.2 | 21.0 (283) |
個人年金 | 2.1 | 3.5 | 3.5 | 3.9 | 4.6 | 4.8 (65) |
有価証券 | 13.6 | 14.4 | 12.8 | 11.3 | 11.8 | 10.3 (139) |
うち株式 | 9.3 | 9.5 | 7.9 | 7.0 | 7.6 | 6.8 (92) |
3. 貯蓄種類の選択基準
貯蓄を選択する際の基準(最も重視すること)をみると、「安全性」を重視する世帯割合が約5割近くに達し、次いで「流動性」、「収益性」の順位になっている。
これまでの調査結果と比べると、「安全性」の水準は前年(46.8%)よりも2.5%ポイント上昇し、設問内容が連続する昭和52年以来の高い水準となった。一方、「収益性」は、前年よりもさらに4.0%ポイント低下して過去最低(前年19.3%)を更新した。
平成3年 | 平成4年 | 平成5年 | 平成6年 | 平成7年 | 平成8年 | 平成9年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
収益性 | 29.1 | 27.9 | 25.2 | 24.5 | 22.3 | 19.3 | 15.3 |
流動性 | 28.1 | 27.3 | 27.1 | 27.7 | 29.3 | 30.2 | 30.9 |
安全性 | 37.0 | 41.2 | 43.5 | 43.1 | 45.0 | 46.8 | 49.3 |
4. 貯蓄の目的
貯蓄の目的(3項目以内での複数回答)としては、従来より「病気・災害への備え」、「老後の生活資金」、「こどもの教育資金」の3つが上位に挙げられており、以下「住宅取得・増改築資金」、「こどもの結婚資金」、「旅行・レジャー資金」が続いている。
ここ数年の傾向としては、上記貯蓄の目的のうち「病気・災害への備え」と「こどもの教育資金」が低下を続ける一方、「老後の生活資金」が上昇している。
貯蓄の目的を年代別にみていくと、ライフステージの変化に対応する形で、20~40歳代では「こどもの教育資金」や「住宅取得・増改築資金」を挙げる世帯が多い一方、50歳代以降では「老後の生活資金」が、また70歳以上では「遺産を子孫に残す」が各々ウエイトを高めている。
平成4年 | 平成5年 | 平成6年 | 平成7年 | 平成8年 | 平成9年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
病気・災害への備え | 68.3 | 70.9 | 69.4 | 71.2 | 69.7 | 69.1 |
老後の生活資金 | 48.2 | 50.1 | 51.6 | 52.9 | 53.9 | 53.2 |
こどもの教育資金 | 36.0 | 35.8 | 34.6 | 33.9 | 33.1 | 31.8 |
貯蓄していれば安心 | 23.0 | 23.5 | 24.2 | 25.2 | 25.9 | 24.9 |
住宅取得等の資金 | 17.8 | 19.1 | 19.4 | 20.0 | 20.3 | 19.7 |
こどもの結婚資金 | 14.9 | 16.4 | 14.5 | 14.7 | 14.4 | 13.4 |