老後を豊かに過ごすために ─リバースモーゲージという選択肢─
(リコース型とノンリコース型の違い)
返済義務の有無で2タイプ、リコース型とノンリコース型
リバースモーゲージは、相続人の返済義務の有無によって「リコース型」と「ノンリコース型」の2種類に分かれています【図表2】。
リコース型 | ノンリコース型 | |
---|---|---|
担保物件の売却後、債務が残った場合の返済義務 | あり | なし |
金利 | 低め | 高め |
- (出所)
- 監修者作成
利用者が亡くなった後に相続人が返済をしようとした際(融資終了時)に住宅価格が下がっていると、担保物件を売却しても元本を完済できないこともあり得ます。
そういった場合に、相続人が不足分の返済をする必要があるのが「リコース型」で、不足分があっても返済不要なのが「ノンリコース型」です。
2017年度、住宅金融支援機構と提携する金融機関が提供するリ・バース60にノンリコース型が導入されたことで、リ・バース60の利用者は飛躍的に増えました。
(リ・バース60の付保実績)
住宅金融支援機構の資料によれば、導入前の2016年度の付保実績戸数が16戸、付保実績金額が1億5,000万円だったのに対し、2021年度の付保実績戸数は1,257戸、付保実績金額は174億5,000万円と、右肩上がりになっています【図表3】。
付保実績戸数(戸) | 付保実績金額(億円) | |
---|---|---|
2016年度 | 16 | 1.5 |
2017年度 | 68 | 8.5 |
2018年度 | 294 | 44.3 |
2019年度 | 687 | 93.6 |
2020年度 | 1,006 | 141.6 |
2021年度 | 1,257 | 174.5 |
- (出所)
- 住宅金融支援機構「【リ・バース60】の利用実績等について」を基に監修者作成
金融機関独自の一般的なリバースモーゲージ(以下、「一般型」とする)の中には、担保物件の売却代金がローン残高より少ない担保割れのリスクに対応するため、あらかじめ保証会社との契約が必要になる商品があります。
一方、リ・バース60では、金融機関が住宅金融支援機構と「住宅融資保険」の契約を結んでいて、利用者の死亡時に相続人からの一括返済等による元本の完済が見込めない場合は、同機構が金融機関に対して残る元金相当額を保険金として支払う仕組みになっています。
ノンリコース型は、相続人の債務返済が不要である一方で、借入金利はリコース型よりも高くなるのが一般的です。
しかし、リ・バース60の場合、申込件数に占めるノンリコース型の割合は約99%と大半を占めています。
ノンリコース型の導入後から利用者が増加していることからも、配偶者や子どもなどの相続人に返済の負担をかける心配がないという点が、利用のハードルを下げているポイントといえそうです。