脳貯金で100歳までイキイキ
第4回 もっと脳を鍛えよう!脳番地トレーニング
最終回となる今回は、脳番地を積極的に鍛えるトレーニング法です。
強い脳番地をさらに強化し、未熟な脳番地は意識的に育てることで、100歳過ぎてもみずみずしく機能する脳貯金を増やしましょう!
初心者・一般向け
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- 脳番地トレーニング
脳の成長の仕方は年齢を重ねるほど個人差が出ます。
得意分野に関わる脳番地はよく育っていきますが、40代・50代になっても未熟なままの脳番地もあります。
それこそがその人の個性でもあるのですが、成長の可能性を放棄してはもったいない!
未熟な脳番地も新しいこと、苦手だったことへの挑戦によって育ちます。
すでに成長している脳番地もトレーニングによっていっそう神経線維の枝ぶりを太く長く伸ばし、機能を高めていけます。
脳トレと呼ばれるクイズやドリルはその多くが記憶力や認知機能の衰えと闘うものです。
しかし私が推奨したいのは脳そのものをより成長させ、脳貯金を増やすこと。
8つの脳番地それぞれに集中的に負荷を与えて、枝ぶりを大きく育てる脳番地トレーニングです。
各脳番地は単独で働くことはありません。常にほかの脳番地と連携しています。
したがって1つの脳番地への負荷はほかの脳番地への刺激にもなります。
脳が疲れ過ぎない程度でよいので、楽しみながら取り組んでみてください。
脳番地の場所
脳番地の役割
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思考系脳番地
前頭前野にあって思考や意欲、物事の判断などを受け持つ。
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理解系脳番地
側頭部から頭頂部にまたがり、与えられた情報を理解する。
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記憶系脳番地
海馬を中心とした部位で、記憶の形成や蓄積に深く関与する。
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感情系脳番地
脳深部の扁桃体とその両側の部位で、感情面を表現する。
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伝達系脳番地
思考系とつながり、自分の考えや感情を他者に伝える。
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視覚系脳番地
後頭葉と前頭葉にあり、目からの情報を脳に集積する。
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聴覚系脳番地
理解・記憶系脳番地と連動して耳からの情報を脳に集積する。
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運動系脳番地
脳のてっぺんから左右に広がっていて、体の動きを管理する。
想像力と感受性をフルに生かすトレーニング
思考系脳番地を鍛える
ゲームでわざと負ける
じゃんけんでもグーを見せられてチョキを出すには思考力が必要です。
どうしたら負けられるか、ふだんとは違う思考回路を刺激します。
将棋など複雑なゲームならなおさら効果的です。
手持ちの材料で創作料理
今ある材料で何を作るかなど、料理は非常に創造的な作業です。
いつものやり方にならないよう、新たな創作料理へのチャレンジが有効です。
手順や味つけ、包丁使いなどに記憶系・理解系・運動系脳番地も総動員されます。
理解系脳番地を鍛える
宝くじに当たったら?
例えば100万円が当たったら何をしよう?
具体的な使い道を多数考えてみましょう。
時間を区切って行動
出かける前の10分間で鞄の中身を整える。
会議が始まる20分前から必要資料を用意するなど、スタートとリミットを定めて行動するには “すべきこと” “その手順” を瞬時に理解しなければなりません。
記憶系・思考系・視覚系脳番地なども活発化します。
記憶系脳番地を鍛える
19歳の自分に戻る
19歳当時の日々を思い出し、そのころの気持ちで過ごしてみましょう。
現在の自分との対比もでき、思考系・理解系脳番地への刺激にもなります
3項目の日記を書く
今日という日を振り返ることは記憶系脳番地を伸ばすために大切なことです。
今日の出来事を3つほどでよいので書き残しましょう。
思い返すことで記憶系脳番地も成長します。
感情系脳番地を鍛える
ペットや植物に話しかける
ペットであれ家庭菜園の野菜であれ、言葉では決して答えてくれない対象に話しかけることは、感情系脳番地を刺激します。
推(お)し活に挑戦
アイドルや俳優など自分の “推し” を2、3人見つけましょう。
なぜその人が好みなのか、どんな人なのか考える時間が感情系脳番地を動かします。
これまでしなかった行動こそ脳番地を活性化する
伝達系脳番地を鍛える
知らなかった人と話す
仕事などで新しく出会った人だけでなく、カフェで隣り合った人など、互いに相手の情報のない状況で和やかなコミュニケーションを取るには伝達系脳番地がフル活動します。対話の内容によってほかの脳番地も広く使われます。
1人しりとり
著名人物、3文字のカタカナなど、その都度自分ルールを決めて頭の中でしりとりをすれば、記憶系脳番地にもよい効果があります。
視覚系脳番地を鍛える
写真で料理を選択
レストランで、文字ではなく料理写真でオーダーを選択。
目からの情報に集中する方法の1つです。
風景の中の同じものを探す
電車やバスなどで移動しているときに、自分で決めたテーマ通りのものに注視します。
屋根の色、特定の数字・言葉など何でもOKです。動く景色の中で動体視力が鍛えられ、記憶系・理解系脳番地の強化にもつながります。
聴覚系脳番地を鍛える
聴いた内容を再確認
ラジオで聴いたことや電話相手が言ったことなどを、口に出して言ってみましょう。
耳から得た情報が確かに脳に入っていることを確認する方法です。
自然音に耳を澄ます
人工音に囲まれた生活の中でも、気をつければ鳥の声、風や雨の音などは聞こえます。
そうした音に気持ちを傾け、集中して聴いてください。
感情系脳番地にも響くはずです。近隣の楽器の音も同様です。
楽器の演奏にチャレンジすれば思考系・理解系・運動系脳番地も育ちます。
運動系脳番地を鍛える
声を出す
口の周りの筋肉を動かすことは大事です。
毎朝「今日は○○をするぞ!」と気合いを入れたり、カラオケで踊りながら歌ったりすれば聴覚系・伝達系・思考系脳番地の刺激にもなります。
長めに歩く
おいしいコーヒーを飲みに、あるいは桜を見に公園へ出向いたり、自分へのご褒美を用意して1駅分程度歩くのがお勧めです。
音、看板の文字、人の姿など歩く途中に入ってくる情報は、思考系・視覚系・聴覚系脳番地なども鍛えられます。
これらは脳番地トレーニングの一例に過ぎません。これまでやっていなかったことをしてみることが脳を進化させます。
長い人生を楽しむためにもぜひ、ご自身の脳を育て続けましょう!
本コンテンツは、金融広報中央委員会発行の広報誌「くらし塾 きんゆう塾」Vol.64 2023年春号(2023年(令和5年)4月発刊)から転載しています。
広報誌「くらし塾 きんゆう塾」目次