平成17年度教員のための金融教育セミナー
1. 講演会 「生きる力と金融教育」
“会社は誰のもの”を考えさせたライブドア騒動
ライブドアによるニッポン放送の買収も番組で取り上げ、「会社ってそもそも誰のものなのか」ということを、考えてもらいました。まずそのためには、ニッポン放送というラジオ局が、フジテレビというテレビ局の親会社であるということから説明しなければなりません。「昔はテレビがなくてラジオしかなかったんだ」と説明すると、子どもたちのほか、番組スタッフからも驚きの声が上がり、私の方がびっくりしました。
「やがてテレビ放送の時代を迎え、ラジオ局や映画会社が資本進出をしてフジテレビを創ったものの、映画会社が経営から降りたので、直接経営することになったニッポン放送が親会社、フジテレビが子会社という関係になったんだ」と、ラジオ局と、昔は小さかったテレビ局がだんだん大きくなったという関係を、局舎の模型を使いながら説明したんです。そこでライブドアが、ニッポン放送の株主になってニッポン放送を支配してしまえば、フジテレビも一緒に支配できるだろうと考えたんだね、と続けました。
株式会社は誰のものかという本題に進んで、株式会社を説明します。「ある人が新しい仕事をやりたいんだけれどお金がないので、いろいろな人からお金を出してもらうことにしたんだ。お金を出してくれた人を“株主”と呼んで、その証拠に“株式”という書類を渡すんだ、そうやって出来た会社を“株式会社”というんだよ」と説明するんですね。
そして仕事で儲かったら、その一部をお金を出してくれた株主に分け前として出す、これを“配当”というんだと続け、会社は、毎年やりたい仕事などを株主に説明する“株主総会”という説明会を開く必要があることも話します。
「株主が一番偉いんだけれど、会社が大きくなると、お金を出す株主と仕事をする人に分かれるようになって、お金を出す人たちは“取締役”という、会社を取り締まる人たちを選び、その取締役たちがさらに代表取締役という代表になる人を選んで、その人が会社の社長さんになるんだ」という話をするのですが、ここへ来てようやく、株式会社は誰のものかが分かってもらえるようになるのです。
しかし会社には、ステークホルダーという利害関係者も重要になってきます。「確かに会社は株主のものだけれど、会社には愛社精神で一生懸命働いてくれる社員も大切な人なんだよ」と、株式会社の仕組みを話すことで、全体的にフォローできると思います。