平成17年度教員のための金融教育セミナー
1. 講演会 「生きる力と金融教育」
銀行合併の解説は、銀行の仕事の紹介から
番組では、多くの金融問題や経済問題を取り上げました。銀行の合併を紹介する際も、子どもたちに理解をしてもらうため、まずは銀行の仕事について解説をしました。「みんなから預かったお金を、銀行はどうしていると思う」と質問すると、「金庫にしまってある」と答えがありました。子どもの持つ銀行という概念はそういうものなのですね。
そこで、「新しい仕事を始めたいという会社や、住宅ローンを借りたいという個人にお金を貸すという仕事をしているんだ、お金を融通するから金融なんだよ」と話すわけです。そして、「お金を返してもらう際に利子も受け取るので、預金者から預かった金庫とは別な自分の財布に、その利子を貯めるんだ。これを自己資本というんだ」と続けます。
お金を集めるだけではなく、お金を貸してくれる金融機関があってこそ、私たちの暮らしを豊かにすることができるんだ。銀行は社会的な意味のある仕事をしているんだよ、といった話をするのです。
しかし、貸したお金を返してもらえないことが起きてしまいます。「これを不良債権といって、返してもらえなくなったお金を、銀行は自分のお金である自己資本から穴埋めすることになるんだね。A銀行は、いくつかの会社にお金を貸したのに返してもらえなくて、自己資本を使って穴埋めを行ったんだ。すると世の中の人が自己資本が減ったのを知って心配したので、その銀行は、どこか自己資本のたくさんあるB銀行と一緒になろうと考えたんだね」と説明しました。
子どもにはこれでいいのですが、この番組は大人も見ていますので、大人は、「B銀行が合併するメリットは何?」と疑問に思うはずです。そこで、「B銀行はあまりたくさんの会社にお金を貸さなかったんだ。だから自己資本はたくさんあったんだけれども、お金を借りるお客さんが少ないというのも将来的には心配なことなので、自己資本が少ないけれど、お客さんの多いA銀行と一緒になることになったんだ」と、このように話すことで、子どもたちにも大人にも理解してもらえるわけです。
銀行とはどのようなところか、段階を踏んで順を追って話せば、一見難しそうな話題も説明することができるのですが、そのためにはどうすればいいのかを、一生懸命考える必要があります。