先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
C 消費生活・金融トラブル防止に関する分野
中学校
「身近な消費生活と環境」
(2年 技術・家庭科<家庭分野>)
福岡県中間市立中間東中学校 田熊 純子 主幹教諭
本校では、社会科、英語科、技術・家庭科、特別支援学級における自立活動において金融教育に取り組みました。ここでは技術・家庭科<家庭分野>についてご紹介します。
第2学年「身近な消費活動と環境」での実践です。導入として、中学生にとって身近な文具に着目させました。筆箱の中身を必要なものとそうでないものに分け、何気なく購入している筆記用具の必要性について考えさせました。そこから生徒たちは、needs(必要なもの)とwants(欲しいもの)があることに気づきました。次に、4種類のシャンプーから1つだけ購入するという課題を提示しました。自分がなぜその商品を選んだのかをワークシートにまとめた後、グループに分かれて、同質の立場、異質の立場から意見を交わしました。これらの活動を経て、生徒たちは、商品を購入する際は、価格、嗜好・話題性、環境への影響などを考慮し、一つだけの情報で判断せず多面的に考えることを学びました。
次にインターネット通信販売(疑似体験)の授業を行いました。課題は「インターネット通信販売で商品を購入する時の注意点を考えよう」です。本校の職員が作った架空のショッピングサイトを用いて授業を行いました。但し、生徒には架空サイトであることは伏せておきました。ショッピングサイトには6つの店舗があり、それぞれの店舗で商品を選んで注文することができます。その後の授業で生徒に注文した商品を届けましたが、その際、「注文した品物がきちんと届く」、「違うものが届く」、「違うサイズのものが届く」、「注文したサイトが閉鎖してしまう」などのパターンを用意しました。そして、なぜそうなってしまったのかを生徒に探らせました。生徒からは「インターネットで買い物をするときは、少ない情報や見た目だけで判断せず、注文を確定する際に入力ミスがないか再確認することが大切」といった声が聞かれました。
この実践を通して、「望ましい消費生活について考える力」とともに、金銭管理についての意識も高まりました。また、家庭科以外の社会科等の実践を通して、経済活動の意義や金融の仕組み、社会的役割についての理解を深め、お金を使う時に必要なコミュニケーションを図ることができるようになりました。今後は、金融の視点での自己の進路や将来設計について考える授業づくりや今回実践できなかった教科での金融教育の在り方の検討と実施を進めていきたいと考えています。