先生のための金融教育セミナー
2020年度 先生のための金融教育セミナー(オンライン開催)
B 金融や経済の仕組みに関する分野
高等学校
「観光による薩摩川内市チャレンジ大作戦」
(3年 課題研究)
鹿児島県立川内商工高等学校 満留 匡樹 教諭
本校のある薩摩川内市は、鹿児島市から北西約40キロの場所にあり、鹿児島県では最大の面積を有する市です。本校では、「コンソーシアムSHOKO事業」として積極的に産・学・官の連携を図っています。今回は商業科における実践をご紹介します。1年生での基礎学習、3年生での応用学習、そして部活動団体での特別学習という3つの実践です。
1年生の基礎学習では、外部講師を招き、「ビジネスについて考えよう!」というテーマで講義をしていただきました。その後、生徒は各自でビジネスプランを作成しました。この取り組みは、日本政策金融公庫主催の「高校生ビシネスプラン・グランプリ」を活用したものです。この大会では、ビジネスプランに収支計画も盛り込まなくてはならず、この点が商業科の生徒にとって有意義だと考えました。さらにビジネスプランを考えることで、主体的な人生設計としたキャリア教育の成果も期待されます。
3年生の応用学習では、地域の産業や経済について調べ、課題を探り、課題解決に挑戦する取り組みを行いました。地域経済分析システムRESASを活用し、薩摩川内市と霧島市とを比較することから始めました。市の経済状況は同程度でしたが、観光分野では大きく差が開いており、生徒は観光分野の発展が薩摩川内市の経済発展につながるという仮説を立てました。そこで、「観光による薩摩川内市チャレンジ大作戦」を立ち上げ、市の認知度向上に向けて映像を制作し、YouTubeや市のホームページへアップしたり、ポスターを制作して公共施設で掲示したりと様々な取り組みを行いました。この活動は、内閣府主催のコンテスト等でも高い評価をいただきました。このような取り組みを行う際、大きな壁となるのが予算だと思います。この取り組みでは、薩摩川内市に支援していただきました。市に協力してもらうことで、学校の教育活動の幅が広がることを実感しました。
部活動団体での特別学習は、税理士試験への挑戦です。高校生が税理士試験を受験するには、まず受験資格を取得するため、日商簿記検定1級、全経簿記検定上級のいずれかに合格する必要があります。非常に難易度が高いのですが、本校生徒が2年次に全経簿記検定上級に合格し、地元新聞にも取り上げられました。試験対策を行う中で、金融や会計についての深い知識と思考力が身についたようです(編注:その後の税理士試験には1科目合格されたそうです)。
これからも地域や他学科との連携を深め、金融教育を通して、薩摩川内市の将来を担う人材育成に努めていきたいと考えています。